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裸足感覚の追求は慎重に
最新シューズで外傷リスクが増加

井手ゆきえ [医学ライター],-週刊ダイヤモンド編集部-
【第150回】

 昨年末の笹川スポーツ財団の調査によれば、日本国内のランニング人口は1000万人を突破。2007年の東京マラソン第1回大会時点では、600万人前後と推計されていたので、1.6倍に増えている。

 ブームに乗ってシューズやウエアの種類も増えた。最近人気なのは「裸足(はだし)感覚」の再現をうたったベアフット・シューズ(以下BF)だ。5本指に分かれたタイプや、親指セパレートの足袋(たび)型など各社各様に工夫を凝らしている。

 さて、その熱気に水を差すわけではないが、米ブリガム・ヤング大学の研究者らが「使い方によっては足にダメージを与える」として、ランニング初心者が安易にBFを選ぶことに警告を発した。

 研究者らは36人のベテランランナーの協力を得て、まず彼らの足底のMRI(磁気共鳴画像)を撮影。19人にBFを、17人に普通のランニングシューズを割り当て、10週間同じ内容のトレーニングをしてもらった。

 10週間後に再びMRIを撮影して比較したところ、BF群では骨の中にある骨髄の炎症による「骨髄浮腫」の発症頻度が高く、疲労によるストレス性外傷も普通のシューズに比べて高い傾向が認められたのである。

 骨は「骨破壊」と「骨再生」を繰り返す骨代謝を通じて強度としなやかさを保っている。しかし、骨再生の途中で同じ動作の反復による振動や衝撃がかかると、骨が再生する間もなく骨破壊が亢進してしまう。従来のランニングシューズはソールに着地の衝撃を和らげる緩衝材の役割を持たせている。一方のBFは「裸足感覚」を追求するためソールを極端に薄くした。つまり「足底の保護効果が及ばない可能性がある」のだ。

 もちろん、BFを否定するわけではない。研究者らは今後もBFの適正な使い方の研究を続けるとしている。現時点でいえるのは、BFを使いこなすには、骨再生の余裕を持たせるトレーニング内容とスケジュール、そして適正なフォームが必要だということ。少なくとも、にわかランナーが「カッコいいから」で購入すべきではなさそうである。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

週刊ダイヤモンド

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井手ゆきえ [医学ライター]

医学ライター。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会正会員。証券、IT関連の業界紙編集記者を経て、なぜか医学、生命科学分野に魅せられ、ここを安住の地と定める。ナラティブ(物語)とサイエンスの融合をこころざし、2006年よりフリーランス。一般向けにネット媒体、週刊/月刊誌、そのほか医療者向け媒体にて執筆中。生命体の秩序だった静謐さにくらべ人間は埒もないと嘆息しつつ、ひまさえあれば、医学雑誌と時代小説に読み耽っている。

 

週刊ダイヤモンド編集部


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