以下、

「親もしくは息子さんに面倒を見てもらってください」
 「実家に帰って援助をもらってください」
 「扶養義務者から援助できないという書類をもらってください」
 「借金があるなら生活保護は申請できません」
 「アパートの家賃が高すぎるから生活保護は申請できません」

 など、いわゆる「水際作戦」で頻発するパターンの数々に対し、村木氏は「生活保護を受給できない理由にはならない」という内容の答弁を行った。

 参院選の行方がどうなろうが、この質疑と答弁には大きな意義がある。ここで示されたのは、厚労省も自民党も、明確に「水際作戦」を肯定しているわけではない、ということだからだ。

「アメとムチ」は
就労自立の支援に有効か?

 今回廃案となった生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案は、生活保護当事者・生活困窮者に対し、就労による経済的自立へと強く方向づける内容を含んでいた。生活保護法改正案では、就労インセンティブ強化のため、一定の要件のもとで就職活動を行って生活保護から脱却した場合に給付される「就労自立給付金」が新設される予定であった。また、生活困窮者自立支援法案は、「新しい水際作戦の窓口となるのでは」と懸念されていた相談窓口の設置とともに、職業訓練・職業あっせん・就労の前提としての住居確保に関する内容を含んでいた。

 もし、これらの法案が成立していたら、就労自立に関して、期待されるような効果を上げられただろうか? 2013日6月21日、参議院・厚生労働委員会に参考人として出席した佐藤茂氏(釧路市福祉部生活福祉事務所生活支援主幹)の発言から、実効性のある就労支援について考えてみよう。

佐藤茂氏(釧路市福祉部)。参考人として、釧路市の自立支援・就労支援について語った(「参議院インターネット審議中継」よりキャプチャ)

 釧路市では、2002年、地元炭鉱の閉山などをきっかけとして、生活保護率が急激な上昇に転じた。2012年の釧路市の生活保護率は約5.5%で、全国平均の約3倍に達している。背景には、高齢化・産業構造の変化・深刻な不況などの問題がある。いずれも、当事者の努力や行政の力による対処には限界のある問題だ。「稼働年齢層ならば就労を」と言っても、就労先がなければどうしようもない。大規模な雇用をもたらす産業の誘致も、現在は困難だ。もちろん、不況が続けば、自治体の税収も減少する。求められる数多くの福祉施策を、予算不足の中で実施しなくてはならない現実がある。