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これからの働き方
【第3回】 2013年7月18日
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松田悠介 [NPOティーチ・フォー・ジャパン代表],藤沢久美 [シンクタンク・ソフィアバンク代表]

急増する「夢がみつからない…」と悩む若者たち

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やりたいことが見つからない人は、海外に活路あるかもしれない。 元高校教師で、教育系NPOティーチ・フォー・ジャパンを立ち上げた松田悠介さん。20代で投資信託評価会社を起業後、多方面で活動している藤沢久美さん。人生の進路を柔軟に変えてきたおふたりに、進むべき道の見つけ方をうかがった!(全3回:撮影 宇佐見利明)

夢が見つからなければ
まずは“試し食い”を

藤沢 松田さんの本を読んで共感したのは、「夢を持てない子どもたち」への言葉でした。私もよく学生から、「夢や目標が見つからない。どうすればいいのか」という質問を受けます。そのときは「いま心惹かれているものに全力投球したほうがいい」と答えていますが、松田さんも同じ意味のことをおっしゃっていた。

藤沢久美(ふじさわ・くみ)
国内外の投資運用会社勤務を経て、1996年に日本初の投資信託評価会社を起業。99年同社を世界的格付け会社に売却後、2000年にシンクタンク・ソフィアバンクの設立に参画。2013年、代表に就任。03年社会起業家フォーラム設立、副代表。07年ダボス会議を主宰する世界経済フォーラムより「ヤング・グローバル・リーダー」に選出。法政大学大学院客員教授、情報通信審議会委員など公職も多数兼務。NHK教育テレビ「21世紀ビジネス塾」のキャスターを3年間務め、その間、全国の中小企業やベンチャー企業の取材を行ってきた。同時に、様々なテレビ・ラジオ・雑誌等を通じて、これまでに1000社を超える全国各地の全国の元気な企業の経営者のインタビューと現場の取材を行い、各種メディアや講演を通じて発信している。

松田 学生は、自分が悩んでいる状態に悩んでいます。夢や目標を持っていないことに対して罪悪感があるようで、自分はダメな存在だと思い込んでしまうのです。

 でも、誰だって最初から理想の夢や目標に出会っていたわけではありません。むしろ生きる意味や目標といったものは一生見つからず、それを探し続けるプロセスが「生きる」ということかもしれません。だから悩んで苦しいのは当然なんです。

 進路に悩んでいる人は、悩んでいる自分を受け止めたうえで、そこから一歩踏み出すための行動を起こしてほしい。夢というところまでいかなくても、いま関心のあることに全力投球してみれば、自分に合っているかどうかがわかるはず。それを一生繰り返すしかないんじゃないかと。

藤沢 それでやりたいことが見つかれば万々歳だし、合わないと思えば次にいけばいいですからね。

松田 はい、まさに“試し食い”です。もしうまくいかなくても、本気で試し食いをすれば、その過程で人と出会ったり、かけがえのない経験ができる。それが人を成長させていくのだと思います。

藤沢 よくわかります。ただ、いまの日本社会は失敗に非寛容で、若い人がチャレンジしにくい環境になっている気もします。

松田 そこは日本の教育の課題です。アメリカはボーイスカウトやガールスカウトが盛んです。子どもたちはああいった活動を通して新しいことにチャレンジして、成功や失敗を繰り返しながら成長していく。日本にも、もっと場数を踏める仕組みがあるといいのですが……。

転職文化が根づけば
日本は変わる!

藤沢 具体的な問題として、日本は転職しづらいという点があると思います。本当は試し食いでたくさん転職してもいいはずなのに、日本では転職がリスクとしてとらえられているから、気軽に試し食いができない。本当はそんなことないんですけどね。

松田 僕も高校教師から教育委員会、留学を挟んで外資系コンサル、そしてNPO代表へと立場を変えてきました。はじめからいまの仕事を選べといわれたら、おそらく選んでいなかったでしょう。僕の場合、それぞれの職場で全力投球した結果、新たな問題意識が芽生えて、次のステージに移っていった。いま振り返ると、転職は必要なプロセスだったと思います。

藤沢 私もたくさん転職しましたから、松田さんのおっしゃることがよくわかります。そうやって転職するごとに気づいたり学んだりすることがあるのに、日本はいまだに「転職者は会社へのロイヤリティーが低い」と考える風潮がある。これは残念です。

松田 「せっかく新卒を採用して、社会人として使えるような人材に育てたのに転職…」というように考えてしまうんですよね。企業のほうも、そういった意識を変えないとダメですね。

藤沢 数十年前、全中国から優秀な学生100人を西側諸国に留学させる制度をつくったとき、多くの官僚は「中国に帰ってこなくなる」といって猛反対したそうです。しかし、その時の国のトップは「2割帰ってくれば十分だ。その人たちを原動力にして成長できるだろうし、成長したあかつきには海外に残った8割の学生が中国とビジネスをするはずだ」と答えたとか。

 実際、いま中国はその彼が言ったとおりの状況になっています。帰国しなかった人たちの人脈が活きているわけで、転職したい人を快く送り出せば、こんどはお客さんとして返ってくる可能性もあるのですから、むしろ企業も人をどんどん外に出すべきです。

松田 いまの日本企業は逆のことをやっています。かつて日本企業は社員を積極的にMBA留学させていましたが、帰国後にすぐに転職・独立する人が多かったので、最近は留学に行かせなくなりました。もうちょっと先を見るつもりで、将来のつながりが太いお客さんをつくるという気持ちで、人をもっと積極的に外に出してほしいですよね。

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松田悠介(まつだ・ゆうすけ) [NPOティーチ・フォー・ジャパン代表]

1983年、千葉生まれ。全米で就職ランキング第1位になったティーチ・フォー・アメリカ(TFA)の日本版「ティーチ・フォー・ジャパン(TFJ)」創設代表者。大学卒業後、体育科教諭として中学校に勤務、その後、千葉県市川市教育委員会を経て、ハーバード教育大学院修士課程(教育リーダーシップ専攻)へ進学し、修士号を取得。卒業後、外資系コンサルティングファームPricewaterhouseCoopers を経て、2010年、NPO法人Teach For Japanを設立、現在に至る。世界経済会議Global Shapers Community メンバー。2014年「今年の主役100人」選出。京都大学大学院特任准教授。

藤沢久美 [シンクタンク・ソフィアバンク代表]

(ふじさわ・くみ)大学卒業後、国内外の投資運用会社勤務を経て、1996年に日本初の投資信託評価会社を起業。同社を世界的格付け会社スタンダード&プアーズに売却後、2000年にシンクタンク・ソフィアバンクの設立に参画。2013年、代表に就任。そのほか、静岡銀行、豊田通商などの企業の社外取締役、文部科学省参与、各種省庁審議会の委員などを務める。
2007年、ダボス会議(世界経済フォーラム主宰)「ヤング・グローバル・リーダー」、翌年には「グローバル・アジェンダ・カウンシル」メンバーに選出され、世界の首脳・経営者とも交流する機会を得ている。
テレビ番組「21世紀ビジネス塾」(NHK教育)キャスターを経験後、ネットラジオ「藤沢久美の社長Talk」パーソナリティとして、15年以上にわたり1000人を超えるトップリーダーに取材。大手からベンチャーまで、成長企業のリーダーたちに学ぶ「リーダー観察」をライフワークとしている。
著書に『なぜ、川崎モデルは成功したのか?』(実業之日本社)、『なぜ、御用聞きビジネスが伸びているのか』(ダイヤモンド社)など多数。
Facebook:
https://www.facebook.com/kumi.fujisawa.official


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