無料のサービスを展開しながら2012年の売上高が5兆円を突破、今年に入っても相次ぐ買収でさらなる拡大を見せている。その力の源泉はどこにあるのか。

 地図情報戦争に終止符が打たれる──。今年6月、米グーグルは地図アプリ提供会社ウェイズを買収すると発表した。その買収額は、新興企業としては破格の約10億ドル(1000億円)である。

 ウェイズは2008年、イスラエルで創業。スマートフォン利用者の走行情報や「声」を基に、交通状況を地図上でリアルタイムに表示するサービスを提供している。

 渋滞情報だけでなく事故や警察の取り締まり、ガソリンの価格に関する情報までわかるとあって人気を呼び、利用者は世界約190カ国で5000万人を超える。

 グーグルは現在、自社のアンドロイドOS搭載端末でも、渋滞情報や交通案内を提供しているが、今回の買収でサービスを飛躍的に向上させる構えだ。

 実は、米フェイスブックや米アップルも買収合戦に名乗りを上げたもようだが、地図サービスでは頭一つ抜け出ているグーグルが競り勝った形だ。

 それだけではない。グーグルは今年1~3月だけで、251億円の資金を投じ、すでに8件の買収を完了している。

 例えば、オンラインの販売促進をする米チャンネル・インテリジェンスを買収してEコマースを強化、ニュース記事の要約機能を開発している米ウェイビーも買収し、検索技術を向上させる方針だ。

 売上高全体に占める買収資金投入の割合は、12年に21%を超えるなど高い水準で推移しており、フェイスブックやマイクロソフト、アップル、ヤフーの米主要4社をしのぐ(図1)。買収件数で見ても11年が79件、12年が53件と、単純計算で週に1社以上のペースで買収していることになる。

 一方で、サービスをやめるのも早い。これまでに70以上のサービスを停止している。フューチャーブリッジパートナーズの長橋賢吾社長は「利用者が少なく市場の成長率も低いサービスは『大掃除』とばかりに、ばっさり捨てるのがグーグルの特徴だ」と言う。