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市場に広がる「アベノミクス賞味期限切れ」の声
“異次元の神通力”を見限る投資家の本質的な疑念

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第287回】 2013年8月6日
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実は海外投資家にとって
期待値が低下する“アベノミクス”

 最近、海外のファンドマネジャー連中とメールのやり取りをしていると、彼らの“アベノミクス”に対する関心が低下していることがわかる。

 中長期の投資を狙うファンマネジャーの中に、依然、わが国経済の行方に高い関心を持っている人もいるものの、ヘッジファンドなど短期取引を得意とする投資家の中には、「“アベノミクス”の賞味期限はすでに終わった」と指摘する者もいる。彼らの関心は、次の収益チャンスを探すことに移っているようだ。

 もともと海外投資家の多くは、安倍政権が本格的な経済改革を実行できるかという点について、疑問符をつける向きが多かった。1990年代初頭の大規模なバブル崩壊以降、彼らが幾度となくわが国政府に裏切られてきたことを考えると、わが国政府の実行力について懐疑的になるのは当然かもしれない。

 それでも、彼らが日本株を買い越している主な理由は、円安の追い風の影響もあり、わが国の主力輸出企業の業績が短期的に大幅に改善するとの読みがあったことに加えて、日銀の“異次元の金融緩和策”の実施によって、金融市場に多額の投資資金が流入して、株価を押し上げることを期待したことがある。

 ところが、5月下旬に米国のバーナンキ・FRB議長が金融緩和策の縮小について言及したこともあり、今後ヘッジファンドなど大口投資家の資金が伸び悩む可能性が出た。また、中国経済をはじめとするBRICsなどの新興国経済が予想以上に減速しているため、一部企業の業績が思ったほど伸びていない。

 それらの状況変化によって、一部の大手投資家はすでにリスク量を減らす(リスクオフのスタンス)をとっており、“アベノミクス”を見限り始めていると言えるだろう。

 昨年年央以降の海外投資家、特にヘッジファンドなどの短期的なオペレーションを得意とする投資家の動きを見ると、いくつかのファンドは昨年の半ば以降、中国経済の息切れを感じ取り始めた。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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