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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

金融政策と国債管理政策の境界溶融
~「2年でCPI 2%」が「Catch 22」とならないように~
――森田京平・バークレイズ証券チーフエコノミスト

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第106回】 2013年8月7日
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溶け始めた金融政策と
国債管理政策の境界

 世界最大の政府債務を受け、日本では財政再建が不可避となっている。しかし、人口の高齢化(=社会保障関係費の増加要因、直接税の低迷要因)に社会インフラの高齢化(=公共投資の増加要因)が加わることで、東日本大震災以降の財政再建は一段と難しい局面に入っている。

 こうしたなか、最終的には財政再建が求められるとはいえ、市場の観点からは、まずは制御不能な長期金利の上昇(イールドカーブのベアスティープ化)を避ける国債管理政策が問われる。

 膨大な財政赤字にかかわらず、これまで長期金利が安定してきたことから、一見、国債管理政策は奏功してきた印象を持つ。しかし、その実態はこれまでは①企業を中心とする国内貯蓄余剰(=経常収支黒字)、②貸出から国債投資に軸を移した銀行行動などを背景とする「ソフトバジェット問題」(注1)であった。

 しかし、ここに来て、より直接的な国債価格維持策としての色合いを強めてきたのが金融政策だ。2013年4月4日に日銀が採択した「量的・質的金融緩和」(Quantitative and Qualitative Monetary Easing:以下QQE)がそれに当たる。金融政策と国債管理政策の境界が溶け始めている。

注1:「ソフトバジェット問題」とは、財務状況が悪化しても貸し手が安定して融資してくれる可能性があるとき、借り手が過剰なリスクをとったり、すべき努力をしなくなるといった経済非効率(モラルハザード)が生じる現象を指す。つまり安定した貸し手の存在が、かえって借り手の行動を非効率にさせる可能性を表す。

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森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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