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スマートフォンの理想と現実

「ドコモのiPhone」は
日本モバイル産業にとっての敗北なのか

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第50回】 2013年9月11日
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いよいよ市場投入されるドコモiPhone

 「ドコモがiPhone発売か?」

 何度となく巷を賑わせてきたこの話題に、いよいよ終止符が打たれようとしているのは、既報の通り。

 これまで、NTTドコモ自身によって否定されながらも、材料が出るたびに報道が繰り返されてきた、ドコモiPhone。その理由はひとえに、日本でもっとも売れているスマートフォンが、日本最大の携帯電話会社から発売されていないという点に、多くの人が不自然に感じていたからだろう。

 裏を返せば「iPhoneひとり勝ち」という状況が、もはや当たり前のことと認識されているということでもある。そしてそんなギャップが、いよいよ〈裁定〉されようとしている。市場の関心やエネルギーが高まるのは、自明である。

 しかし今回のiPhone発表は、NTTドコモの対応の有無以外にも、これまでとは違う点が散見される。

 たとえば、今回、各種新製品の噂が、相当早い段階からメディアにあふれていた。そして部材メーカー等に裏を取ると、信憑性が高いと言えるリークが、相当程度は流通していた。真偽のほどは不明ながら、新型や廉価版、そしてカラーバリエーションについてなど、アップルファンに限らず多く人が、すでに既成事実として語っている。

 かつてスティーブ・ジョブズの存命だった頃には、リークが出ただけで取引停止も辞さず、といった厳しい措置さえ辞さなかったアップル。それが今回は、当時と比べて考えられないほどのリークが飛び交っている。下落した株価対策にアップルが自ら情報を流していると揶揄する向きもあるほどだ。

 それこそ、NTTドコモがiPhoneを投入するという情報も、ドコモ側からだけでなく、むしろアップル側からのリークがあったという報道もある(参考記事)。私自身も、そうした話は聞いており、むしろ交渉終盤ではアップル側がドコモiPhoneの発売を確定させたがっていたという見立てをする人も、業界内には少なくない。

 本稿執筆時点では、まだNTTドコモがどのタイミングでiPhoneを投入するかは、明らかになっていない。おそらく今日・明日ではないだろうが、遠からず発表ということになるのは、今回は間違いなさそうだ。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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