ユニクロ、GAP、H&M……。あなたにとって一番なじみ深いのは、どの“ファストファッション”ブランド? 2008年9月にH&M銀座店がオープンしたころからニュースなどで取り上げられるようになった“ファストファッション”という造語。流行を採り入れた衣料品を「短いサイクル、かつ低価格で販売する」という業務形態をファストフードになぞらえたものだが、全国的に見ると、この造語自体の認知度はまだ半数に満たないという。

ユニクロがダントツの認知度!
H&Mが2位のGAPを追い上げる

 それでは、各ブランドの認知率はどのくらいなのだろう。株式会社クロス・マーケティング(東京都中央区)が全国の20~60代の男女、合計1200人にアンケートした結果は以下のようになった。

 

 全世代9割以上というダントツの認知率だったのが、現在全国に約400店舗を展開するユニクロ。1900円のフリースや「ヒートテック」などのヒット商品を次々と生み出していることももちろんだが、カンヌ国際広告祭など世界の3代広告祭すべてのインターネット部門でグランプリを勝ち取ったウェブ広告「UNIQLOCK(ユニクロック)」や、旬のモデルやタレントを起用するテレビCMで消費者の心をつかんでいる。代表の柳井正氏が2年連続で「社長が選ぶ今年の社長」(産業能率大)に選ばれた理由も「不況下において業績を伸ばしている実績を評価」されてのこと。

 2位以下はGAP(本社:アメリカ)、H&M(同スウェーデン)、フォーエバー21(同アメリカ)、ZARA(同スペイン)、トップショップ(同イギリス)と続く。 

 この中で一番早く日本に進出したのはGAP(1994年)。全国に約120店舗とユニクロに次ぐ店舗数だが、認知度ではまもなくH&Mに追いつかれそうだ。H&Mは1号店こそ銀座にオープンしたものの、その後は原宿や渋谷のほか横浜や埼玉などの地方にも出店。庶民層を狙った店舗展開が続くと見られている。

 2009年4月に日本第1号店をオープンしたフォーエバー21は、“ファストファッション”ブームの流れに乗って知名度を上げた格好。逆に、1998年に日本に進出し、現在全国に約50店舗を展開するZARAや、2006年9月に原宿に初の店舗をオープンしたTOPSHOPの方が知名度は低い。

「安さ」だけじゃない“価値”が必須

 同アンケートでは、それぞれのブランドイメージも調査している(※各ブランド×イメージから、コレスポンデンス分析を実施したもの)。

・ユニクロ……コストパフォーマンスがよい。色が豊富。低価格。
・GAP……自分向けのブランドである。
・H&M……流行の洋服や小物が購入できる。他にはない商品がある。デザインが豊富。
・フォーエバー21……かわいらしい。流行の洋服や小物が購入できる。派手。
・ZARA……格好いい。

 ユニクロやGAPが「購入しやすい」イメージにつながるものが多いのに対し、H&Mやフォーエバー21、ZARAは「デザイン性の高さ」を評価する声が高い。また、どのブランドも値段が安いこと以外の好イメージが定着しつつあることがわかる。

 “ファストファッション”の流行について、ファッションライターの津島千佳さんは「女性誌で最近よく取り上げられるのは価格の高いものと安いものを組み合わせる“MIXコーディネート”。20代後半から30代を中心に、ジャケットや靴にはお金をかけたいけれどインナーやレギンスなどは安くてもいいかも、という感覚が広まっているのでは」と話す。

 「そればかりでは偏るけれど、定期的に立ち寄りたくなる――」

 ファストフードとファストファッションは、そんな意味でも似ているのかもしれない。

(プレスラボ 小川たまか)