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認められたい私、認めてくれない社会~「承認不安時代」の生き方~

なぜブラック企業の社員は、会社を辞めないのか

梅田カズヒコ [編集・ライター/プレスラボ代表取締役]
【第5回】 2013年10月23日
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「強迫観念にとらわれたかのようにメールの返信を急ぐ人」、「せっかく一流企業に入ったのに辞めて、所得を減らしてでも自分らしい職場を探す人」……。一見不可解な現代の若者に特徴的なこれらの行動。こうした行動に駆り立てる原因を探っていくと、彼らの「認められたい」という思いに行きつくことが少なくない。現代において若者を悩ませる最大の問題は、経済的不安ではない。「認められない」という不安なのだ。

一方で、若者でない世代も含めて、日本に蔓延する閉塞感の正体を探る意味でも「承認」、さらに「承認格差」は、大きなキーワードだと考える。この連載では、経済的な格差に苦しむよりも深刻かもしれない、「“認められない”という名の格差」を考えていこうと思う。

 さて、前回まで、家庭や恋愛など、親密な関係性と承認について考えてきたが、ここからは職場やクラスメイトなど、共通の目的性を持った組織と、承認のバランスを考えることにする。そして、今回のテーマはズバリ、“ブラック企業問題”だ。ブラック企業と当連載に何か関係はあるか、と思われるかもしれない。だが、突き詰めていくと、大いに関係があると考えられるので、それをこれから書いていこうと思う。

「そんなにイヤなら辞めればいい」
外側からはブラック企業問題を理解できない

 ブラック企業の問題に触れる際、問題の外側にいる人たちがいつも抱く疑問がある。それは、「そんなに今の会社がイヤなら、辞めればいいのに」という点だ。記憶に新しいのは、ホリエモンこと堀江貴文氏がツイッターで、ブラック企業についての質問に対し、「嫌だと思ったら辞めればいいのでは?辞めるの自由よん」と回答したことだろう。この発言に対してはネット上で多くの疑問が寄せられ、いわゆる炎上したのだが、一方でこの回答に納得した方も多かったのではないか。実のことを言うと、僕もその意見に同意している。

 人間は自分の経験を通してしか判断ができない。例えば自分の場合で言うと、学校を卒業し、フリーターを経てフリーランスのライターとなり、そのまま起業したので、企業に就職した経験はない。一時期、正社員ではないものの、完全歩合契約で雇ってくれた会社があったのだが、その会社では人間関係に悩まされた記憶はある。が、その煩わしさも仕事に占めるウェイトは小さなものだったし、目標ができてからは、「これも独立・起業までの一時的なものだから仕方ない」と割り切ることができた。しかも、総合的に見るとその会社での経験は大変勉強になるものだった。要するに会社に就職して不満を感じたことはない。だから、ブラック企業と騒ぐ人の気持ちが、本当のところはよく分からないのだ。

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梅田カズヒコ [編集・ライター/プレスラボ代表取締役]

ロスジェネ世代(1981年生)の編集・ライター。フリーライター、編集プロダクション勤務を経て2008年より株式会社プレスラボを起ち上げる。著書に『エレベスト』(戎光祥出版)。web上のニュースサイト「下北沢経済新聞」編集長。「GetNavi」(学研)誌上で『コンビニ研究室』連載中。他に「日経トレンディネット」「COBS ONLINE」「R25」「サイゾー」など主にネット媒体で執筆中。起業したのは旺盛な独立心と言うよりも、むしろサラリーマンの職場における煩わしい人間関係から逃げるため。
ツイッター:@umeda_kazuhiko


認められたい私、認めてくれない社会~「承認不安時代」の生き方~

「強迫観念にとらわれたかのようにメールの返信を急ぐ人」、「ランチを一緒に食べる友達がいないと思われるのがイヤで、トイレでご飯を食べる人」……。オジサンには一見不可解な現代の若者に特徴的なこれらの行動。こうした行動を駆り立てる原因を探っていくと、彼らの「認められたい」という思いに行きつく。この連載では、「承認」をキーワードに、特に若者の間で広がる現代社会の生きづらさの正体を考える。

「認められたい私、認めてくれない社会~「承認不安時代」の生き方~」

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