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悶える職場~踏みにじられた人々の崩壊と再生 吉田典史

天下りおじさんと子育て女子会に人生を搾取される!
低賃金・重労働のテレビ下請けでもがく40代独身女性

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第21回】 2013年11月26日
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「期待されている」のではなく
「利用されている」のでしかない派遣女性

 今回は、女性の社会進出が進む職場に深く根を張る、表には出て来にくい「悶えの構造」に焦点を当てよう。取材で話を聞いた女性の名前を、仮にAさんとする。

 Aさんは、放送局の翻訳部門に派遣される派遣社員である。42歳で独身、仕事はできる。20代の頃から懸命にキャリアを積み重ねてきたが、気がつくと同世代の女性の多くは結婚し、子どもがいる。

 翻訳の職場には派遣社員が10人近くいるが、その多くは育児をしながら働く女性たち。Aさんはその同僚たちから利用され、さらには上司たちからも利用され尽くしていると嘆く。Aさんが働く他の部署の数人の社員からも事情を聞いたが、決して被害者意識が強い人ではないようだ。

 企業の職場で女性の活躍の場が増えていると言われるが、その実は、まだまだ男性上位の職場が多い。優秀でありながら権限を与えられにくい女性で、特に独身者の場合は、「便利な人」として理不尽な扱われ方をされるケースがあり得る。

 女性の職場進出を考える上で、本来は優秀な女性たちの待遇をもっとよくすることが議論されるべきであると思う。筆者は、そのような問題提起を含めて取材を試みた。男性読者諸氏にとっても、思い当たるフシはないだろうか。


筆者 「職場や上司に利用されている」とは、どのような状況を意味するのですか。

Aさん 私が本来しなくてもいい仕事までさせられる。たとえば、他の派遣社員の仕事もするし、正社員の管理職がするべきことまでせざるを得ない。

筆者 「期待されているから」と受け止めることは、できないのでしょうか。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


悶える職場~踏みにじられた人々の崩壊と再生 吉田典史

 企業で働くビジネスマンが喘いでいる。職場では競争原理が浸透し、リストラなどの「排除の論理」は一段と強くなる。そのプロセスでは、退職強要やいじめ、パワハラなどが横行する。最近のマスメディアの報道は、これら労働の現場を俯瞰で捉える傾向がある。

 たとえば、「解雇規制の緩和」がその一例と言える。事実関係で言えば、社員数が100以下の中小企業では、戦前から一貫して解雇やその前段階と言える退職強要などが乱発されているにもかかわらず、こうした課題がよく吟味されないまま、「今の日本には解雇規制の緩和が必要ではないか」という論調が一面で出ている。また、社員に低賃金での重労働を強いる「ブラック企業」の問題も、あたかも特定の企業で起きている問題であるかのように、型にはめられた批判がなされる。だが、バブル崩壊以降の不況や経営環境の激変の中で、そうした土壌は世の中のほとんどの企業に根付いていると言ってもいい。

 これまでのようにメディアが俯瞰でとらえる限り、労働現場の実態は見えない。会社は状況いかんでは事実上、社員を殺してしまうことさえある。また、そのことにほぼ全ての社員が頬かむりをし、見て見ぬふりをするのが現実だ。劣悪な労働現場には、社員を苦しめる「狂気」が存在するのだ。この連載では、理不尽な職場で心や肉体を破壊され、踏みにじられた人々の横顔を浮き彫りにし、彼らが再生していくプロセスにも言及する。転機を迎えた日本の職場が抱える問題点や、あるべき姿とは何か。読者諸氏には、一緒に考えてほしい。

「悶える職場~踏みにじられた人々の崩壊と再生 吉田典史」

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