国は無駄遣いに走りがち。
だから、国がお金を管理すると、、、

 当時、中国で広く流通していたのは銅銭ですが、銅の産出が少ない四川では鉄銭を使用していました。しかし鉄銭は重く、高額の取引には向きません。そこで金融業者は商人から鉄銭を預かり、引換券として紙幣を発行したのです。

 北宋政府は商人からこの権利をとり上げ、交子を発行します。政府が保有する銅銭を準備金(担保)として、発行額には上限が定められました。

 ところが、政府というのは無駄遣いに走りがちです。戦争や公共事業、宮廷の浪費を賄うため、上限を超えて紙幣を乱発し、信用が一気に失われます。紙幣乱発による通貨価値の下落すなわちインフレが起こるわけです。

 北宋の交子、南宋の会子、元の交鈔、すべて同じ経緯で紙くずになり、「インフレ→ 農民暴動→ 王朝崩壊」という経過をたどりました。

 中世ヨーロッパでは、フィレンツェ共和国のフローリン金貨、ヴェネツィア共和国のドゥカート金貨などが流通していました。これら金銀貨幣を民間の金融業者が預かり、手形(紙幣)を発行したのは中国と同じです。