企業から個人商店まで、ネット通販(EC)の売上げが急拡大している。アラタナは、ネットショップの構築ツールである「ECキューブ」をベースにしたサイト構築ツールの販売で全国1位の社数実績を持つ。宮崎に本社を構え、全国へ営業展開する新興企業だが、その営業スタイルがユニークだ。基本的に宮崎から動かず、すべてネットと電話で完結する「非対面」を徹底している。また、従業員数100人を超えたところだが、濱渦伸次社長は、「1000人企業を目指す」と宣言する。甘いマスクとは裏腹な、エッジの効いた経営方針と高い目標を掲げる狙いを聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 指田昌夫)
ECサイトに特化した技術者集団
――そもそもなぜ、ECサイトの開発会社を起業したのですか。
アラタナ代表取締役。1983年宮崎県生まれ。都城高専を卒業後リコーに勤務、その後Uターンして宮崎でカフェバーを開業するが半年で倒産、アルバイト、カメラマン等を経て2007年にアラタナを創業 Photo:DOL
最初企業に就職しましたが、1年で地元宮崎に戻り、カフェバーを開業したのですが半年で倒産してしまいました。その借金を返すためにアルバイトを掛け持ちしていたのですが、その1つに地元の有名なアパレルショップがありました。
そのうち、そのショップでECサイトを作ることになり、管理者を任されました。ECサイトを試行錯誤するなかで、ネットの可能性に気づいたのと、一方で、地方の商店街の店が次々と閉店していく様子を目の当たりにして、「これから地方はECしかない」という気持ちになり、元同級生と2人で起業しました。
現在、当社が販売・サポートする商品「カゴラボ」は、オープンソースのECソリューションである「EC cube」のカスタマイズとサーバー、セキュリティをパッケージしたツールで、全国800社に導入していただいています。商品管理や決済機能などの煩雑な作業はツールを使うことで軽減され、企業は本来の接客や集客に力を割くことができます。
――ユーザー企業は、小規模な店舗が多いのですか。
確かに当初、大手の企業では「オープンソース」であることに不安を持っていたようです。しかし現在ではその品質、サービスは向上しています。企業側も、ビジネスとしてECを見たときに、費用対効果を考えてコストとクオリティのバランスを重視するようになっています。結果、当社のパッケージを選んでいただくことも増えています。
およそのイメージとしては、自社開発と比べて、開発費用を数千万円から数百万円に、ランニング費用を月額数十万円から数万円に、一桁抑えることができます。しかも当社のパッケージにはセキュリティ機能も含まれています。
――アラタナの強みはどこにありますか。
ECまわりに特化した技術力には自信を持っています。事実、売上げの3~4割は、Webサイト製作会社からの受注です。日々進化し、高度化するECの技術に追随していくのは、通常のサイト制作会社では大きな負担になっているのが実情です。