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スマートフォンの理想と現実

消費者は通信サービスに何を期待しているか
通信事業者に求められる「市場の再定義」

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第56回】 2013年12月11日
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 「通信料金って税金みたいなものだよね」

 知人との雑談で、そんな話題になった。確かに、いまや月々1万円近いお金を、無思考かつ無条件に拠出するアテは、ほとんどない。

 携帯電話が使えなくなれば、確かに困る。だから相応の料金を払うのは当然だ。ただ、そのお金が具体的にどのように使われているのか、調べようとする消費者は少ない。それに、具体的に調べる手段も、多くは提供されていない。

 売上や利益の大まかな構造は、IR資料で開示されてはいるものの、いわば「大分類」程度である。実際のネットワークの構造やその費用、通信事業者が得る収益など、「小分類」について、その詳細は分からないままだ。

 しかし、消費者の沈黙をもって、通信料金(そしてその実体である通信サービス)が受け入れられていると、考えるべきなのだろうか。多くの消費者はすでに相応に高いと感じており、一定程度の不満は持っているはずだ。実際、「通信料金を下げる!」といった特集を組む雑誌は、いつも販売好調らしい。

 冒頭に挙げた物言いも、実はしばしば耳にする。だからこそ、通信障害や、信用情報の取り扱いに問題が起きたとき、「(高い料金を払っているのに)通信事業者は何をしているんだ」という声が、そこはかとなく広がるのだろう。矢継ぎ早に投入される新製品のけたたましい宣伝文句に、なんとなくかき消されていくのも、また現実なのだが。

シナジーって一体なんだろう?

 通信事業者によるM&Aのニュースからも、似たようなことを感じる。

 たとえば先日、NTTドコモが、料理教室「ABCクッキングスタジオ」を展開する(株)ABC HOLDINGSの買収を発表した。2014年1月までに発行済み株式の過半数を取得するという。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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