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金融市場異論百出

米国でマネーが「質への逃避」。日本では逆現象が起きた訳

2008年4月3日
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 ベア・スターンズへのFRB緊急特別融資が決まった翌週の3月19日、ニューヨーク市場では「質への逃避」が激しく生じていた。

 3ヵ月物Tビル(短期国債)の利回りは0.60%へと急低下した。同期間の無担保のドル金利(ユーロドル取引)は2.70%程度。Tビルに対する市場の需要が著しく高まったことがわかる。

 また、同日午前中は、銀行間の無担保オーバーナイト(フェデラルファンド)金利が2.29%前後で取引されていた。FRBの誘導目標(2.25%)より高い。しかし、米国債を担保とするオーバーナイト取引(GCレポ)は0.38%へと急落していた。ここでも安全な資産にマネーが殺到していたのである。

 ちょうどその日、日本では福井俊彦・前日本銀行総裁が退任し、総裁ポストが空席となった。このようなときにGDP世界2位国の「通貨の番人」「市場の守護神」が不在という事態には、海外の市場関係者もあきれていたようである。

 その頃の日本の短期金融市場では「質への逃避」と逆の金利の動きが見られた。GCレポは一時0.70%程度まで高騰(普段は0.50%台前半)。国債を担保にする資金貸借の金利が無担保コール・オーバーナイト金利を大幅に上回っていたのである。

 また、政府短期証券(FB:短期国債の一種)の利回りも一時は急上昇を見せた。3ヵ月物FBの入札における最高落札利回りは、3月5日0.5643%、12日0.5743%だったが、18日は0.6480%へと上昇した。

 米国の大手証券会社は、日本のレポ市場や短期国債市場ではビッグプレーヤーである。しかし、米国の金融システム危機を受けて彼らがグローバルに資金繰りを慎重化させると、日本ではレポや短期国債の金利に歪みが発生する。

 FBは最近は毎週4.2兆円程度の規模で市場で発行されている。財務省は市中でのFB発行額を減らそうと工夫をしてきた。しかし、2003~04年に実施された円売りドル買い介入が巨大だったことや、外貨準備の運用益を円転しないことなどから、FB発行額は高水準になっている。平時においては円滑に市場で消化されるが、今の状況下では発行量の多さがズシリと響いてしまう。

 アジアの他の国々のように、日本も外貨準備を「SWF」として運用すべきとの提唱がある。東京市場の活性化につながる面もあり、方向性を否定するものではないが、1兆ドルを超す日本の外貨準備の大半は短期国債でファイナンスされている。その不安定な現実を直視する必要があるだろう。

(東短リサーチ取締役 加藤 出)

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