事業者の選定を間違えた場合、本来見つかるはずの重要文書が漏れてしまうこともある。不利な文書を開示しないまま後で見つかった場合、逆に有利な文書を探し出せない場合のダメージは小さくない。

 また、非効率なやり方で手間取ると、本来集中すべき訴訟対応に十分な時間を取れなくなる可能性もある。

 さらに、情報管理上のリスクも考慮する必要があると白井氏は指摘する。

「委託を受けたディスカバリ事業者が、結局自分たちでは日本語に対処できずに外部に再委託するケースが見受けられます。重要データが外部の事業者間を行き来する状態は、企業にとって大きなリスクです。その中に、非常に重要な機密情報が含まれているかもしれません」

独自開発の
「Lit i View」で支援

 ディスカバリの品質だけでなく、コストについても十分に検討する必要がある。重要なポイントの一つは、翻訳コストだ。やむを得ないことではあるが、米国企業と日本企業との争いであれば、日本企業には翻訳の分だけ重い負荷が課されることになる。

「訴訟に関係する文書をどこまで絞り込むかという見極めは難しい。絞り込みがうまくできずに、翻訳の費用がかさんでしまうケースは少なくありません。『とりあえず何でも翻訳してしまえ』というやり方では、翻訳コストが膨大になってしまいます」と白井氏は言う。加えて、担当する弁護士にも余計な文書を読ませてしまうことになりかねない。ディスカバリの段階で必要十分なレベルにまで開示文書を絞り込むことが、訴訟費用の抑制につながる。

 以上のような課題を解決し、国際訴訟に対応する企業をサポートするために、UBICは独自開発した電子証拠開示支援システム「Lit i View」を提供している(図)。

「Lit i Viewは、ディスカバリの全プロセスを一貫してサポートする仕組み。米国の弁護士や日本のチームが一緒に仕事を進めやすいなどの理由から、弊社独自のクラウドサービスを通じて利用するお客さまがほとんどです。また、社外にデータを出したくないというお客さまには、それに対応した提供形態を用意しています」(白井氏)

 高度な日本語処理技術とUBICのノウハウを実装したLit i Viewを活用して、ディスカバリの品質と効率、スピードを高めることができる。そのコアとなる機能「プレディクティブ・コーディング(Predictive Coding)」については、次ページで解説したい。

■この記事の続き「ディスカバリの中核であるレビューを高品質かつ低コストで実現するプレディクティブ・コーディング 」を読む