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どう中国と付き合うか 反日暴動から1年、平和友好条約締結から35年

中国経済のバージョンアップを狙う習近平指導部
第18期三中全会の意義と日中関係に及ぼす影響

吉田陽介[日中関係研究所研究員]
2013年12月20日
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発展の“質”を追求すると謳う
第18期三中全会の歴史的意義

よしだ・ようすけ
1976年生まれ。99年3月福井県立大学経済学部経済学科卒業。2001年3月まで同大学大学院経済経営学研究科国際経済経営専攻。主に中国経済を研究。同年9月中国人民大学に留学。一年の語学研修を経て、同校国際関係学院課程(科学社会主義と国際共産主義運動専攻)に進学。06年7月卒業。卒業後は日本語教師を経て、10年より日中関係研究所研究員として日中関係、中国政治の研究に従事。

 「時と共に進む――」

 これは中国の社会主義を語るうえで重要なキーワードである。

 毛沢東時代の中国は「階級闘争を要とする」というスローガンの下、政治闘争を優先させたが、トウ小平(トウの文字は「登」におおざと)が政治の表舞台にカムバックしてからは軌道修正し、「経済建設を要とする」路線に切り替わり、市場経済を取り入れた社会主義建設に乗り出した。その転換点となったのが、第11期三中全会(中央委員会第三回全体会議)であった。

 それ以降、中国は伝統的計画経済の枠内で、市場経済の利点を取り入れる改革から着手し、指令性計画の役割を徐々に小さくしていき、市場経済の役割を拡大していった。

 これまでの社会主義の概念では、市場経済は資本主義のものであり、それを導入することは「資本主義化」を招くとされ、改革開放当初は党内の保守派からの強い反発があった。しかし、改革派は「市場経済は農民や労働者の積極性を喚起し、経済活動が活発になりうるため、中国の社会主義建設に有益なものだ」として、その導入を推進していったのである。

 改革開放路線がとられて35年。これまでは経済成長を目標にパイの拡大に力を注いできたが、この路線は所得格差、環境問題など様々な社会問題を引き起こした。そのため、改革開放路線はさらなる段階に入る必要に迫られている。

 その意味で、2013年11月に開かれた第18期三中全会は、これまでの盲目的な“GDP拡大至上主義”から脱却し、発展の質を追求するとともに、元来、無政府性を持つといわれている市場経済に競争のルールを与え、「ルールある市場経済」の発展を模索すべく、法治社会の建設を進めることを謳っている。

 2012年11月に開かれた第18回党大会は、2020年までに「小康社会を全面的に実現」(小康社会とは、いくらかゆとりのある生活を送れるような社会という意味)することを謳ったが、後述する今回打ち出された改革は、それを実現するためのものであるといえる。

 まさに、“時と共に”進展してきた中国の発展。第18期三中全会は改革開放を次の段階に推し進めるうえで、大きな意義を持っているのである。

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