ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む

輸出産業を苦しめる急激なドル安・円高!
原因は投機資金によるドルキャリー取引か?

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第41回】 2009年10月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 日本を含めた世界各国の経済情勢は、アメリカとの国際収支の動向で左右される度合いが大きい。日本経済に関しては、とくにそうである。したがって、日本経済の今後を見るためにも、アメリカの国際収支動向を見ることが重要だ(*注1)。

 アメリカの輸入は、2008年の秋から冬にかけて急減した。四半期計数で見た財サービスの輸入は、ピーク時(2008年第Ⅲ四半期)の988億ドル程度から、09年第Ⅰ四半期の707億ドルまで、わずか数カ月のうちに28%も減少した(【図表1】参照)。これによって、日本や中国をはじめとする輸出国の経済は大きな打撃を受けた。また、アメリカの貿易収支と経常収支の赤字額も、ピーク時の値から大きく減少した(【図表2】参照)。

【図表1】アメリカの財サービス輸出、輸入の推移(四半期計数、単位:億ドル)

【図表2】アメリカの財サービス貿易赤字、経常赤字の推移(四半期計数、単位:億ドル)

 こうした急減過程は今年の春ごろに終了し、その後若干持ち直した。図には示していないが、月別の数字を見ると、赤字額は安定してきたように見える。今後も、たぶんこの水準が続くのではないだろうか。そうであるとすれば、現在の状況が、新しい均衡を示していると考えられるわけだ。

*注1 ここで用いているデータは、アメリカ商務省経済分析局(Bureau of Economic Analysis)による国際収支データである。貿易収支のデータとしては、この他にアメリカ商務省統計局(U.S. Census Bureau)による外国貿易データがある。これらのデータは、定義の違い等があるため、同一値ではない。

中国に比べて、
日本はずっと大きな打撃を受けた

 前述のように、アメリカの輸入は急減した。ただし、輸入国別に見ると、日本からの輸入と中国からの輸入にはかなりの差が見られる。

 第1に、ピーク時水準からの落ち込みは、日本のほうが激しい。日本からの最近時点の輸入は、ピーク時(06年第Ⅳ四半期)に比べて46.9%減少した。それに対して、中国からの最近時点の輸入は、ピーク時(08年第Ⅲ四半期)に比べて21.2%しか減少していない。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR


おすすめの本
おすすめの本
消費税だけでは財政再建できない!「日本を破滅から救うための経済学」

経済論争の最大のトピック=デフレ問題から、赤字国債発行の問題点、年金の破綻、消費税増税、円安誘導の為替政策まで、主要論点を網羅。いずれのテーマでも、通説と一線を画す内容に驚愕すること必至。綿密なデータの読み込みに裏付けられた、野口教授のマクロ経済政策論!1680円(税込)

話題の記事

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

------------最新経済データがすぐわかる!------------
『野口悠紀雄 使える!「経済データ」への道』


野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む

突如として世界中を襲った経済危機。激流に翻弄される日本経済はどうなってしまうのか? なすべき対策はあるのか? 100年に1度の未曾有の事態を冷静に分析し、処方箋を提示する野口悠紀雄の緊急連載!

「野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む」

⇒バックナンバー一覧