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財政再建の選択肢(下)
40兆円規模の財政緊縮を実現する二つの道
――日本総合研究所主任研究員 河村小百合

河村小百合 [日本総合研究所調査部上席主任研究員]
2014年2月4日
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前回の拙稿(「財政再建の選択肢(上)」)においては、①巨額の政府債務残高を抱えるわが国が、中長期的に安定的な財政運営を続けていくためには、少なくとも、毎年度あたり40兆円規模の財政収支改善をできるだけ早く実現する必要があること、そして、②わが国の財政運営の市場金利上昇に対する耐久力が、欧州各国をはじめとする主要諸外国との対比で著しく低いこと、それゆえ、③欧州債務危機の際の経験よりもはるかに小幅な市場金利の上昇によっても、財政運営の継続に行き詰まる事態となりかねないこと、を指摘した。今回は、このように「気が遠くなるような規模」の財政構造改革を実現するための選択肢として、いかなる方向性があり得るのかを考えたい。

わが国の財政運営に
何が欠けているのか

 わが国の財政事情が、これほどまでに悪化してしまった背景には、どのような問題があるのだろうか。財政運営の枠組みや実際の政策運営の何が問題で、本来必要であるはずの何が欠けているのだろうか。それを認識したうえで、現行の国と地方の行財政制度の継続を前提とすれば、財政再建の確実な実行に向けて、いかなる改革を今後、行っていけばよいのだろうか。

①「財政制約」の認識

 わが国に欠けている最たるものは、国としての財政運営上の「財政制約」の認識であろう。わが国の場合、ここ数年来、財政健全化のための目標として掲げられているのは、国債の利払費を含まない基礎的財政収支(PB)のみにとどまる。しかも、健全化の進め方のペースも、2015年度において、PBの名目GDP比の赤字幅を2010年度対比で半減する、というごく緩いものだ。これでは、急膨張を続けている国債残高規模の増加傾向に歯止めをかけることすら覚束ない。

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河村 小百合 [日本総合研究所調査部上席主任研究員]

かわむら・さゆり/日本総合研究所調査部上席主任研究員。1988年京都大学法学部卒。日本銀行勤務を経て、現職。専門は金融、財政、公共政策。これまでの執筆論文・レポート等は参照。公職:財務省国税審議会委員、厚生労働省社会保障審議会委員、内閣官房行革推進会議歳出改革WG構成員、同独立行政法人改革等に関する分科会構成員、住宅金融支援機構事業運営審議委員会委員ほか。

 


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