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山田厚史の「世界かわら版」

3・11から3年!反省なき原子力ムラの復活
東電を盾に逃げ切る経産省の責任

山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]
【第56回】 2014年3月13日
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 3・11から3年が経った。復興を妨げる最大の障害は福島第一原発の事故である。放射能が被災地の復元力を蝕んできた。我々は、重苦しい現実に耐えられず、東京五輪に関心を移してフクシマを直視することから逃げてはいないか。そうした中で旧体制が復活しつつある。

見当たらない「深い反省」の中身

 政府は2月25日、エネルギー基本計画の原案をまとめた。政権に復帰した自民党のエネルギー政策を示すものだ。

 民主党政権が「2030年代に原発ゼロを目指す」とした目標はあっさり消され、原子力を「重要なベースロード電源」と位置づけた。止まっている原発は「規制委員会が新基準に適合していると認めた原発は再稼働を進める」と明言した。

 フクシマの反省は軽く触れられている。「過酷事故への対応策が欠如していたことが露呈した」。他人事のような表現である。

 「いわゆる『安全神話』に陥ってしまっていたことや、被害者の皆様を始めとする国民の皆様に多大な困難を強いる事態を招いてしまったことへの深い反省を、政府及び事業者は一時たりとも放念してはならない」と書いているが、何をどう反省したというのだろうか。

 誰が安全神話が作り、行政が何を誤ったか。全く触れていない。「深い反省」の中身が見当たらない。

 「2030年代に原発ゼロ」を取り下げた理由も書かれていない。かつて政府が「原発ゼロ」に舵を切ったことなどなかったかのような書きっぷりだ。政権が戻れば政策も戻る、と示したエネルギー計画である。

 「基本計画」といいながら目標数字を一切示さないのが今回の特徴だ。原発の発電比率は「可能な限り低減させる」と曖昧だ。再生可能エネルギーについても「13年から3年程度、導入を最大限加速し、その後も積極的に推進していく」とあるが、2020年にはどの程度にするかなど目標を示していない。

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山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]

やまだ あつし/1971年朝日新聞入社。青森・千葉支局員を経て経済記者。大蔵省、外務省、自動車業界、金融証券業界など担当。ロンドン特派員として東欧の市場経済化、EC市場統合などを取材、93年から編集委員。ハーバード大学ニーマンフェロー。朝日新聞特別編集委員(経済担当)として大蔵行政や金融業界の体質を問う記事を執筆。2000年からバンコク特派員。2012年からフリージャーナリスト。CS放送「朝日ニュースター」で、「パックインジャーナル」のコメンテーターなど務める。

 


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元朝日新聞編集員で、反骨のジャーナリスト山田厚史が、世界中で起こる政治・経済の森羅万象に鋭く切り込む。その独自の視点で、強者の論理の欺瞞や矛盾、市場原理の裏に潜む冷徹な打算を解き明かします。

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