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2020年東京オリンピック狂騒曲

競技団体最大の悩み“カネ”は予算でカバー
問われる「強化」「普及」の思想とバランス

仲野博文 [ジャーナリスト]
【第5回】 2014年3月28日
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東京五輪まで6年。スポーツ行政にも変化が生じ始めている。昨年12月24日に発表された来年度予算案では、文部科学省のスポーツ関連予算が過去最高となる255億円に。また、2月末には超党派のスポーツ議員連盟によるプロジェクトチームで座長を務める遠藤利明衆議院議員が、講演の中で来年4月までにスポーツ庁の設置が実現するという見通しを示している。「強化」と「普及」の2点が常に議論されてきた日本のスポーツ行政。今回は「強化」の部分を中心に、日本のスポーツ界が抱える諸問題や今後の展望について、遠藤議員に話を聞いた。

最大の懸案だった自主財源確保
予算返納や不正会計も発覚

 2月23日、政府は東京五輪強化策として、各競技団体が国の補助金を受けて実施する強化事業について、現在3分の1となっている団体側の自己負担分を実質ゼロにする方針を決定した。

 その背景には、3分の1負担に対応できない団体が少なくない現状があるからだ。遠藤利明衆議院議員が語る。

 「各競技団体の努力が大切だという前提はあるものの、これまでは残り3分の1を自主財源として調達しなくてはならない決まりがあったため、調達できない団体が補助金を返してしまうことがあった。3分の1の予算を調達できずに補助金を返納し、結果として強化そのものができなくなっていたのだ。もう1つは、この間のフェンシング協会のように、自主財源を調達できないため、3分の1にあたる予算分を別の方法で使い問題化したケースもある」

 その問題化したケースとは日本フェンシング協会だ。2月、日本オリンピック委員会の強化事業において、前事務局長による不適切な経理があったことを認め、3月15日付で理事全員が辞任すると発表している。

 産経新聞によると、海外遠征などで選手から一律に一泊2万円の領収書を提出させ、実費との差額を他の強化事業などに転用していたのだという。私的な流用は確認されなかった。遠征費の3分の2は国からの補助金で賄われ、残りを競技団体が負担する仕組みであったが、協会は選手らに3分の1を超える額を自己負担させ、2011年と2012年の2年間で約3000万円の収入を得ていた。

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仲野博文 [ジャーナリスト]

甲南大学卒業、米エマーソン大学でジャーナリズムの修士号を取得。ワシントンDCで日本の報道機関に勤務後、フリーに転身。2007年冬まで、日本のメディアに向けてアメリカの様々な情報を発信する。08年より東京を拠点にジャーナリストとしての活動を開始。アメリカや西ヨーロッパの軍事・犯罪・人種問題を得意とする。ツイッター:twitter.com/hirofuminakano

 


2020年東京オリンピック狂騒曲

2020年東京オリンピック開催が決定した。今後7年、競技施設をはじめとした様々な分野でのインフラ投資が期待されており、関連業界は早くも皮算用を始めた。東京以外の地方都市も、オリンピックで来日する外国人を取り込み、疲弊する地元経済の起爆剤にすべく、思案し始めている。一方で、建設現場は人手不足、人件費と建設資材の高騰でコストは増加傾向。2020年に向けて急速に少子高齢化が進む日本は、果たして東京オリンピックを無事に運営し、オリンピックの熱気を日本の活力に変えられるのだろうか。あらゆる関連業界の“狂騒”ぶりをレポートする。

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