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鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」

医療・教育が“倒され”公共事業増強へ再転換
自民党型予算成立に見る予算配分構造の限界

鈴木寛 [文部科学大臣補佐官、東京大学・慶応義塾大学教授]
【第4回】 2014年3月27日
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 新年度(平成26年度)予算案が20日、成立しました。国の政策の多くは予算に裏付けられていますので、政治や政策を語る上で欠かせないものです。

 民間企業にお勤めの読者のかたも多いと思いますが、ちょうど財務諸表を読み取るアカウンティングの知識があると、その企業の実態が浮かび上がってくるのと同じです。

 とはいえ、今度の予算案でいえば、95兆8823億円という規模ですから、細目をすべて追いかけるのは困難です。それでは何か切り口を見つけて分析しようと、多くの国民はこの時期のメディアの報道を足がかりにするわけですが、漠然と情報に触れているだけでは本質を見誤る危険すらあります。なにせベテランの国会議員でも、まともに予算案の中身を語れない人すらいるのが実状。財務省をはじめとする各省の官僚のてのひらに踊らされてしまいます。

消費増税でPB改善も
財政健全化へ遠い道のり

 まず予算案そのものの概要をつかみます(参照「平成26年度予算政府案」)。1ページ目に意義付けが書いてあります。新聞記事で言うとメインの見出しにあたります。すなわち今回は「経済再生・デフレ脱却と財政健全化をあわせて目指す予算」と「社会保障・税一体改革を実現する最初の予算」が掲げられています。

 前者のうち「経済再生・デフレ脱却」は、安倍政権の経済政策アベノミクスを色濃く反映している反面、「財政健全化」という文言があります。これに留意しつつ、後者を見ると、「社会保障・税一体改革」があります。

 野田政権が2年前、当時の与党だった民主党、野党の自民、公明両党がかわした「三党合意」に基づき、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための関連法案を通したことを思い出してください。8つの関連法案の第1メニューであり、新年度予算最大のポイントは「消費増税」です。いよいよ4月1日から税率が現行の5%から8%に上がります。来年10月には10%へと段階的に引き上げられる見通しです。

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鈴木 寛 [文部科学大臣補佐官、東京大学・慶応義塾大学教授]

すずき・かん/元文部科学副大臣、参議院議員。1964年生まれ。東京大学法学部卒業後、86年通産省入省。2001年参議院議員初当選(東京都)。民主党政権では文部科学副大臣を2期務めるなど、教育、医療、スポーツ・文化を中心に活動。党憲法調査会事務局長、参議院憲法審査会幹事などを歴任。13年7月の参院選で落選。同年11月、民主党離党。14年から国立・私立大の正規教員を兼任するクロス・アポイントメント第1号として東京大学、慶応義塾大学の教授に就任。同年、日本サッカー協会理事。15年2月から文部科学大臣補佐官として大学入試改革などを担当している。


鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」

インテリジェンスとは「国家安全保障にとって重要な、ある種のインフォメーションから、要求、収集、分析というプロセスを経て生産され、政策決定者に提供されるプロダクト」と定義されています。いまの日本社会を漫然と過ごしていると、マスメディアから流される情報の濁流に流されていってしまいます。本連載では既存のマスメディアが流す論点とは違う、鈴木寛氏独自の視点で考察された情報をお届けします。

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