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原油高の隠れた犯人は需要を肥大化させる中国と産油国のガソリン安

週刊ダイヤモンド編集部
【第17回】 2008年7月24日
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原油高の要因を巡っては、OPEC陰謀説、ファンド悪玉説などさまざまな論調があるが、真実はそのいずれでもないと気鋭の石油問題専門家リサ・マルゴネリ氏は説く。同氏が特に注目するのは、需要増大の背景にある中国と産油国の“官製”ガソリン安だ。(聞き手/ジャーナリスト 矢部 武)

石油問題研究家のリサ・マルゴネリ(Lisa Margonelli)氏
石油問題研究家のリサ・マルゴネリ(Lisa Margonelli)氏

 原油価格が高値圏でもみ合っている。2002年初めの1バレル=20ドルから、2004年9月に50ドル、2008年6月には140ドルまで上昇。(7月22日現在も120ドル台後半で推移している)。

 ブッシュ政権は2003年3月、「独裁者のフセインを倒して米国民に安い石油を提供する」とイラク戦争を開始したが、結果は逆になった。それはなぜか。

 まず大前提として押さえておくべきことは、原油市場には石油会社、取引業者、武装勢力、投機家などさまざまなプレーヤーが存在し、特定の国やグループが制御しようとしてもうまくいかないという構造である。ビリヤードで白球を突いて黒球を指定ポケットに入れようとして、ほかに入れてしまうことがあるがこれと同じだ。

 そのうえで最大の理由を挙げれば、やはりそれは需給関係の変化だろう。

 まず供給面では、産油国における埋蔵量と新規生産投資の減少が大きく影響した。昨年、世界の生産量は日量100万バレル減少した。

 たとえば、ベネズエラは、原油で儲けた資金を、食料供給、教育、福祉などに回している。チャベス大統領は2003年1月、ストを行なった石油労働者を大量に解雇し、その結果、生産体制が縮小して産油量が減った。しかし政府は何のダメージも受けず、価格高騰でかえって利益を増やした。

 供給が減る一方、中国やインドなど新興国で需要は増大している。特に中国ではガソリン税を低くしていることもあり、クルマのユーザーがすごい勢いで増えている。

 また、産油国では、ガソリンが安いために需要が伸びる。米国では1ガロン=4ドルだが、ベネズエラは9セント(44分の1)、イランは30セントだ。イランは抑圧された国だが、人びとはクルマを運転しているときだけは自由で楽しそうだ。

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