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知らないと損する!医療費の裏ワザと落とし穴

魔法の水も、病気が治る壺も、なんでもOK?
規制改革会議が提案する「選択療養」の荒唐無稽さ

早川幸子 [フリーライター]
【第70回】

 もしも、こんなことが国の医療制度として認められるとしたら、あなたはどう思うだろうか。

 がんを患っているAさんは、ある日のこと、患者仲間のあいだで噂になっている○×クリニックの門を叩いた。そこでは健康保険の効く標準治療と並行しながら、B医師が編み出した「水療法」を行ってくれるというのだ。

 説明を聞いてみると、水療法とはB医師が考案したもので、『魔法水』という特殊な水を、彼が独自に決めた基準で飲み続けるというものだった。

 B医師「魔法水は、私しか入手できない特殊な水です。抗がん剤治療と並行して、魔法水を毎日1リットルずつ飲み続けるとがんが消えます。1リットル5万円。1ヵ月分だと約150万円になります。でも、これでがんが治れば安いものですよね。どうされますか?」

 そういうと、B医師はAさんの目の前に1枚の契約書を差し出した。

 そこには、Aさんのがんには「水療法の必要性があること」、ただし、「ケースによっては、魔法水の効果が出ないこともあるが、一切の責任は治療を受けることを納得したAさんにある」といったことが書かれていた。

 魔法水の効果はいまだ研究段階で、安全性や治癒率などを示す客観的なデータはない。だが、藁にもすがる思いのAさんは、医師の言葉を信じて契約書にサインをした。

 それから1年後。B医師の言う通りに魔法水を飲み続けたにもかかわらず、Aさんのがんが消えることはなく、帰らぬ人となった。

 Aさんが1年間に魔法水に支払った費用は1800万円にも上った。家族は裁判に訴えようとしたが、B医師は契約書を楯に「Aさんは自己責任で治療法を選んだのです」と自分には一切責任がないという。結局、Aさんの家族は泣き寝入りするしかなかった。

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早川幸子(はやかわ・ゆきこ) [フリーライター]

1968年、千葉県生まれ。明治大学文学部卒業。編集プロダクション勤務後、99年に独立し、以後フリーランスのライターとして女性週刊誌やマネー誌に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を寄稿。現在、ダイヤモンドオンライン「知らないと損する! 医療費の裏ワザと落とし穴」、医薬経済社「ウラから見た医療経済」などのウェブサイトに連載中。13年4月から朝日新聞土曜版be on Saturday(青be)の「お金のミカタ」を執筆。「日本の医療を守る市民の会」発起人。


知らないと損する!医療費の裏ワザと落とし穴

国民の健康を支えている公的医療保険(健康保険)。ふだんはそのありがたみを感じることは少ないが、病気やケガをしたとき、健康保険の保障内容を知らないと損することが多い。民間の医療保険に入る前に知っておきたい健康保険の優れた保障内容を紹介する。

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