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通貨革命か、それとも虚構か?「ビットコイン」を正しく理解する 野口悠紀雄

急速に広がるビットコインの実生活での利用
――しかし、日本はまったく取り残されている

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第8回】 2014年4月10日
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 ビットコインの利用として報道を賑わしたのは、しばらく前までは、「シルクロード」というウェブ店舗での違法な薬物購入、キプロスや中国などからの資本逃避、そして投機だった。その半面で、ビットコインは、実際の生活とはあまり関係がなかった。

 しかし、この状況は、急速に変わり始めている。ビットコインが、実際の生活やビジネスにも影響を与え始めたのである。

ウェブショップでの利用

 個人が買い物でビットコインを使う場合、ウェブ店舗での購入が中心になる。現時点で何を買えるだろうか?

コインデスク(CoinDesk)は、ウェブ店舗を紹介している。例えば、そのリストにあるBitcoinShopでは、PC関係、カメラ、時計などを売っている。

 アマゾンは、これまではビットコインを受け付けなかったが、ジンク・セーブ(Zinc Save)を経由してビットコインでの購入が間接的にできるようになったと伝えられている。

 アメリカのウェブ店舗オーバーストックは、今年の初めからビットコインの受け付けを始めた。利用者は4300、決済高は100万ドル(1億円)を突破した。これは売上総額の約5%にすぎないが、利用者の約6割は、オーバーストックの最初の利用者だと考えられている

 支払いがビットコインで簡単にできるようになれば、ウェブでの購入自体が増えるだろう。さらに、ホテル、航空会社などがビットコインを受け入れるようになれば、状況はさらに変わる。

ビットコインを受け入れる実店舗も増える

実際の店舗も、ビットコインを受け入れるようになった「コインマップ」によれば、全世界でビットコインを受け付ける実店舗は、約4000ある。

 受け入れ店舗が増えれば、とくに海外からの旅行者は、いちいち現地通貨に両替しなくて済むので便利だ。ホテルの立場からみても、クレジットカードよりコストが低い。次回のオリンピック開催地であるリオデジャネイロで、どれだけ受け入れ店舗が増えるかが注目される。

 実生活のビットコイン利用の実例として、『フォーブス』誌の女性記者が、1週間ビットコインだけで生活したという手記がある。

 食事はあまり問題なく、通勤には知り合いから自転車を借りた。遠くの場所への移動は、知り合いにタクシーになってもらった。一番問題だったのは家賃の支払いで、家主が拒絶したため、ホステルに泊まらざるをえなかった。これは、2013年5月のサンフランシスコでの話だ。

 「コインマップ」によると、現時点でアメリカでは約1600の実店舗がビットコインを受け入れている。大半はこの1年内に受け入れ始めた。だから、ビットコインだけで生活するのは、いまではもっと簡単になっているだろう。ホテル代やタクシー運転手へのチップもビットコインでできる。

90日間、ビットコインだけで生活した新婚夫婦のレポートもある。彼らは、この間に、世界一周旅行をしている。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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通貨革命か、それとも虚構か?「ビットコイン」を正しく理解する 野口悠紀雄

インターネット上で使われている仮想通貨である「ビットコイン」にに対する関心が、急速に高まっている。この連載では、「ビットコインが何をもたらすにしても、それは通貨史上の大きな革命であるばかりでなく、まったく新しい形の社会を形成する可能性を示した」との認識に立ち、ビットコインの仕組みを解説し、それがもたらしうるものについて論じる。

「通貨革命か、それとも虚構か?「ビットコイン」を正しく理解する 野口悠紀雄」

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