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2020年東京オリンピック狂騒曲

スポーツの普及は学校と企業だけでは難しい
期待される“地域”の受け皿としての役割

仲野博文 [ジャーナリスト]
【第8回】 2014年5月30日
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本連載の5回目ではスポーツ行政の「強化」の部分について取り上げ、スポーツ行政に詳しい自民党の遠藤利明衆議院議員に話を聞いたが、今回は「普及」について考えていく。民主党政権時に文部科学副大臣としてスポーツ政策の立案にも携わり、スポーツ行政の実態にも詳しい鈴木寛氏のコメントを中心に、東京五輪を控えた現在の日本におけるスポーツの普及活動のあるべき姿について探ってみたい。

老若男女、だれもがスポーツを
楽しめる場を作ることが大事

すずき・かん
元文部科学副大臣、前参議院議員。1964年生まれ。東京大学法学部卒業後、86年通産省入省。2001年参議院議員初当選(東京都)。民主党政権では文部科学副大臣を2期務めるなど、教育、医療、スポーツ・文化を中心に活動。党憲法調査会事務局長、参議院憲法審査会幹事などを歴任。超党派スポーツ振興議連幹事長、東京オリンピック・パラリンピック招致議連事務局長。大阪大学招聘教授、中央大学客員教授、電通大学客員教授。13年7月の参院選で落選。同年11月、民主党離党。

――これまで若年層へのスポーツ普及に全国のスポーツ少年団が大きな役割を果たしてきたが、現在その役割は事実上終焉を迎えつつあるのだろうか。

 一定の役割を終えたわけではないが、少子化という問題に直面しているのも事実だ。最大の問題は少子化にある。しかし、スポーツ少年団がこれまでに果たしてきた役割は大きく、スポーツ少年団が作ってきたスポーツ文化をさらに高めていく形で、次世代のためにどのようなスポーツコミュニティーを作っていくべきか議論・実行する段階に来ている。今度は少年少女だけではなく、地域の老若男女が集まってスポーツが楽しめる場所を全国津々浦々に展開していくべきだと考えている。

 地域差もあるので、行政主導と民間主導のどちらの形があってもいいと思う。これはなにもゼロから始めるという話ではなく、スポーツ少年団を支えてきた地域コミュニティの力や、そういったものを育成してきた行政の力を上手く活用していけばいいのだ。

――各地域のコミュニティでスポーツを盛り上げていくという考え方だが、海外ではどのように行われているのか?

 ドイツにあるスポーツクラブを例にとると、19世紀後半に創設されたものが多く、総合型スポーツクラブのモデルとして参考にさせてもらったが、1つのクラブでサッカーをはじめ水泳やテニス、体操といった異なるスポーツを楽しめるのが特徴だ。これらのスポーツクラブは地域の住民がスポーツを楽しむ目的で作られており、入会時の敷居も低い。

 私はオーストラリアのシドニーに1年間滞在していたが、滞在期間中は市内のヨットクラブに所属していた。シドニーでは木曜日と週末にシドニー湾でヨットレースが開かれており、数千隻のヨットがシドニー湾を埋め尽くし、レース参加者のなかには真剣にタイムを競う人もいれば、ヨットでのクルージングそのものを楽しむ人もいて、まさに多種多様だ。

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仲野博文 [ジャーナリスト]

甲南大学卒業、米エマーソン大学でジャーナリズムの修士号を取得。ワシントンDCで日本の報道機関に勤務後、フリーに転身。2007年冬まで、日本のメディアに向けてアメリカの様々な情報を発信する。08年より東京を拠点にジャーナリストとしての活動を開始。アメリカや西ヨーロッパの軍事・犯罪・人種問題を得意とする。ツイッター:twitter.com/hirofuminakano

 


2020年東京オリンピック狂騒曲

2020年東京オリンピック開催が決定した。今後7年、競技施設をはじめとした様々な分野でのインフラ投資が期待されており、関連業界は早くも皮算用を始めた。東京以外の地方都市も、オリンピックで来日する外国人を取り込み、疲弊する地元経済の起爆剤にすべく、思案し始めている。一方で、建設現場は人手不足、人件費と建設資材の高騰でコストは増加傾向。2020年に向けて急速に少子高齢化が進む日本は、果たして東京オリンピックを無事に運営し、オリンピックの熱気を日本の活力に変えられるのだろうか。あらゆる関連業界の“狂騒”ぶりをレポートする。

「2020年東京オリンピック狂騒曲」

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