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定年前にたそがれない!50代からの人生リセット術 野田稔

ただの「部長」「専門家」では人を動かせない時代
周りを巻き込んだリーダーは何をしてきたか

野田 稔 [一般社団法人 社会人材学舎 代表理事]
【第17回】 2014年6月9日
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「部長ですから、仕方ないです」
組織での権限はもはや“万能薬”ではない

 リーダーシップの源泉として、最初に思い浮かべるのは、「公式的権限」というものだろう。すなわち、会社などの組織において階級が上の者の持つ権限である。前回の話に照らせば、「偉い人」の定義の7割から8割を占めているものがこれだ。

 要するに何らかの長、あるいはグループリーダーといった肩書きには、組織が命令を下すことを認めているという意味が込められている。部長であれば、部という単位に対して、長として命令を下す権限を組織が公式に認めているわけである。

 それは公の秩序であるから、その部のメンバーにとっては、組織が命令することを認めた人=部長からの命令は聞くのが当然である。このような了解がある。だから、その人の言うことを聞く。

 つまり「偉い人」という感覚の多くは、自分が心底そう感じているわけではなく、組織が認めた、自分より偉い人という意味なのだということがわかる。

 警察や軍隊のような組織においては、比較的にまだ公式的権限は効いている。非常時において、皆が勝手な判断をしたら危険だからだ。それでも、ずいぶん昔とは違ってきたといわれている。納得のできない、どうしても理不尽と思える命令に関しては、抗弁することが許されているそうだ。

 ましてや民間企業では、あくまでもイメージではあるが、リーダーシップの源泉すべてを100とした場合、公式的権限の占める割合は多分、20から30に過ぎないと思う。

 たとえば、リーダーシップがよく効いていると思われる組織を調査して、「なぜあなた方はそんなにあのリーダーの言うことを聞くのですか」「なぜ彼(彼女)の命令にコミットするのですか」と聞くと、ケースに応じていろいろな理由が出てくる。それで最後に、「第一、うちの部長ですから」となる。要するに、公式的権限は最後のネタに過ぎないのだ。

 逆に、あまりリーダーシップがうまく発揮できていない、何となく組織がうまく活性化していない組織で、同じ質問をしてみると、「えっ? 聞いているってほどじゃないですけどね、部長ですから、仕方ないですから」と公式的権限が最初に出てくる。エクスキューズとして使われてしまう。

 なるほど、公式的権限というものは万能薬とはもはや言えない。むしろ、これであまり人を動かそうと考えないほうが、スマートなリーダーシップが発揮できるということなのだろう。

 ましてや公式的権限で一番強力な武器である査定、そうした評価で人を動かそうとするのは、今では最もプアなリーダーシップといえる。「お前、わかっているんだろうな」。そういうことを言うと、それこそ面従腹背になってしまう。

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野田 稔 [一般社団法人 社会人材学舎 代表理事]

明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授/株式会社リクルートホールディングス リクルートワークス研究所 特任研究顧問。野村総合研究所、リクルート社新規事業担当フェロー、多摩大学教授を経て現職に至る。日本テレビ系列「ズームインスーパー」、NHK総合「経済ワイドビジョンe」「Bizスポワイド」、NHKEテレ「仕事学のすすめ」などメディアでも活躍。主な著書に『組織論再入門』『中堅崩壊』(以上ダイヤモンド社)、『二流を超一流に変える「心」の燃やし方』(フォレスト出版)『企業危機の法則』(角川書店)など多数。


定年前にたそがれない!50代からの人生リセット術 野田稔

大企業の中に、500万人近くいると推計される雇用保蔵者。役職定年者を中心に、もし自分が雇用保蔵人材と認定されているとしたら、どのように自らのキャリアを考え、建て直していくべきなのか。50歳で人生を黄昏(たそがれ)にしないためのマインドセットと自分を変えるための方法論とは……?

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