経営 × オフィス

目の前にいない部下を、どうやって評価するか?
――「働き方変革」推進企業の人事部が越えた壁

河合起季
【第2回】 2014年6月13日
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働き方変革に不可欠なのは
トップの理解と決意

 今回、「働き方変革」を実践している企業事例として紹介するのは、ICT(情報通信技術)基盤の構築・サポートを手がけるネットワンシステムズだ。いわゆる「SI(システム・インテグレーター)」業界の大手企業だが、働き方変革を加速するための人事制度改革に2009年から取り組んでいる。改革の中心メンバーである下田英樹・経営企画本部人事部シニアエキスパートは、改革の背景について次のように話す。

 「2006年頃の当社は、エンジニアの個のスキルと馬力に頼ったようなところがあり、社内では“個人商店”の集まりと言われていました」

ネットワンシステムズが進めるワークスタイル変革を主導する、下田英樹・経営企画本部人事部シニアエキスパート Photo:DOL

 事業領域がネットワーク専業だった起業当初はそれでもよかったが、クラウド基盤や社員間コラボレーションをはじめとするICT基盤全体へと拡大した現在は、個人商店のままの働き方では顧客の幅広いニーズに応えられない。社員間のコミュニケーションを促し、スペシャリスト同士が協働して、新技術を融合させる働き方が必要になってきたという。

 「その一方で、経営目標の営業利益率10%をクリアしなければならないという課題もありました。それには一人ひとりの生産性アップが不可欠で、SI業界にありがちな過重労働も削減したかった。これらを同時に達成するために始めたのが、人事制度改革です」

 この改革は、下田氏が率いる人事部が主導し、総務部、情報システム部も一体化させた改革チームを経営陣がサポートする形で進められた。

 「この活動においてまず欠かせないのが、トップの理解と強い決意です。幸い、当社の経営陣はその意思が強かった。というのも、ICTサービスの利用が企業の競争力を高めることを自ら証明し、そのノウハウをお客様に提供することが当社の使命だと考えているからです。私自身も、働き方変革を目指す企業の好事例となるような人事制度を構築したいという思いがありました」

人事制度の変更は
社内の抵抗が避けられない

 こうして始まった改革のキーワードは、“工夫”だという。一人ひとりが考えて効率を上げなければ全体は変わらない。その中核となる制度が、働く場所を工夫する(1)テレワーク制度、働く時間を工夫する(2)フレックスタイム制度、働く時間帯を工夫する(3)シフト勤務制度だ。この3本の制度を柱に、2011年から本格的に運用を始めている。

 「当社のような時代の変化を強く意識しているような企業でも、組織やシステムを根底から見直す大きな変化には多くの社員が抵抗を感じ、腰が重くなる。変化を嫌うのは人間の特性の一つなんです。ですから、やや強引な感じで先に制度を導入してしまい、それを活用する社員は後から増やしていく方針をとりました。新しい制度は実際に活用してみないと効果がわからないことも多い。まさに『走りながら考える』スタイルですね」

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