サッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会で、日本代表は15日、コートジボワール戦の敗退で、苦難のスタートを切った。日本時間20日のギリシャ戦に期待を託している読者の方も多いだろう。
コートジボワール戦で出場したメンバーのうち、香川真司、山口螢、柿谷曜一朗、大久保嘉人らを育て上げたことで知られるのが、セレッソ大阪。W杯にウルグアイ代表として出場しているディエゴ・フォルラン選手を今季、獲得したことも話題をさらった。Jリーグの強豪3クラブの社長へのインタビュー連載第2弾は、セレッソを運営する大阪サッカークラブの岡野雅夫社長に突撃取材を試みた。(聞き手/週刊ダイヤモンド編集部 泉 秀一)
――今年、セレッソ大阪は、2010年ワールドカップで最優秀選手に選ばれたウルグアイのディエゴ・フォルラン選手を獲得して話題になりました。フォルラン選手の獲得には、経営者としてどのような戦略がありましたか。
1978年早稲田大学商学部卒。同年、現ヤンマー入社。関連会社の支店長、支社長等を歴任し、2010年にブランドマネジメント部長に。11年より大阪サッカークラブ取締役。12年1月より現職。
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サポーターやメディアはフォルラン選手のプレーや得点に注目していますが、私は経営者で、いわば商売人です。グラウンドで試合をする人間にとっては勝敗が最も重要ですが、クラブの経営を任されている私にとっては最重要事項ではありません。
もちろんセレッソが勝つと嬉しいですが、それは次の商売がしやすくなるからです。
フォルラン選手を獲得する上で考えたのは、「獲得にかかった資金を回収できるかどうか」ということです。彼がセレッソに加入すれば、観客が入り、グッズが売れる。スポンサー企業が増えることも予想できました。回収の見込みがない投資は行いません。
――実際に回収はできていますか。
現状では順調です。観客が増えることで入場料が増え、それに比例して物販も増える。これだけで6~7割は回収できる計算です。
残りの3割を占めるのはスポンサーです。スポンサーは金額が大きく、非常に重要な収入源です。フォルラン選手が加入してから、スイスの高級時計メーカーであるタグ・ホイヤーなどスポンサーが10社以上も増えました。
さらに凄いのは金額です。フォルラン選手が加入してからスポンサーの金額が、それまでと1桁変わることもあります。これには私も驚きました。
既存のスポンサーの出資額も増えています。もしかすると私たちフロントは、「まだフォルラン選手をビジネス的にうまく活用できていないのかもしれない」と思うほど、彼のインパクトは大きいのです。