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『週刊ダイヤモンド』特別レポート

空母、原潜、核兵器の保有は“割に合う”か
――軍事評論家・岡部いさく氏に聞く

週刊ダイヤモンド6月21日号特集「自衛隊と軍事ビジネスの秘密」より特別公開

週刊ダイヤモンド編集部
2014年6月20日
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軍事といえども、経済合理性を抜きにしては成り立たない。逆に、戦略や兵器の特質を無視して、経済合理性だけから軍事を語るのも無意味だ。空母や原子力潜水艦、核兵器の保有は日本にとって“割に合う”のか。防衛装備の“選択と集中”を考える上で、重要なのは何か。武器輸出三原則の見直しは何をもたらすのか。軍事の専門家に聞いた。(聞き手/週刊ダイヤモンド編集部 河野拓郎)

──中国の軍事的脅威の増大などに対抗して、日本も空母や原子力潜水艦、あるいは核兵器を持つべきだという意見があります。これらは、日本の防衛戦略や、コストの面から見て、“割に合う”のでしょうか。

おかべ・いさく
1954年生まれ。学習院大学文学部フランス文学科卒業。航空雑誌「月刊エアワールド」編集者、艦艇雑誌「月刊シーパワー」編集者を経て、フリーの軍事評論家。有事の際はテレビの報道番組での解説などで活躍。豊富な知識に基づいた冷静な分析で定評がある。著書に『検証 日本着弾 「ミサイル防衛」とコブラボール』(扶桑社・共著)など。

 まず空母ですが、これはすごくお金が掛かります。米海軍の原子力空母で言うと、建造費だけで1500億円以上、それに載せる戦闘機が1機50億円として50機で2500億円、早期警戒機や電子戦機、ヘリコプターなどその他の搭載機を平均で25億円、30機積むとして750億円。計5000億円近くになります。米海軍によれば、1隻の運用経費も1年当たり平均200億円ぐらい掛かっている。

 米海軍の空母は、だいたい寿命50年の前提で、折り返しの25年ぐらいのときに核燃料交換およびオーバーホール工事をやるのですが、今、米国政府が財政の強制削減を行っているせいで、空母「ジョージ・ワシントン」の工事の予算が出せないという状況になりかけました。結局議会が予算をつけてくれて、「ジョージ・ワシントン」はオーバーホール工事と、今後25年の寿命が確保されましたけれども。つまり米国ですら、空母の維持というのは財政的に苦しい。

 日本の場合、米海軍の空母ほど大きなものは必要ないでしょうが、ざっくり半分としても、1隻で3000億、年間の運用費が50億円とか100億円になるわけです。

 さらに、乗組員が空母1隻で飛行部隊も含め1000人~1500人とすると、海上自衛隊に今それだけの人数を確保できるかという問題があります。

 しかも、空母は1隻では役に立たない。整備や訓練のローテーションのため、常に動ける状態にするには、最低3隻必要になります。英海軍などは2隻で我慢していますが、これは状況によっては作戦に出せる空母がない状態になることを覚悟の上です。

──それくらいお金が掛かるものだ、と。

 そうです。では日本は、その空母で何をするのか。米国のように、世界中の海に出て、いざとなれば地域紛争に介入し、内陸国のアフガニスタンにまで飛行機で爆弾を落としに行く、というような作戦を考えるのならば、空母は必要でしょう。

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