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生活保護のリアル みわよしこ

家賃滞納や夜逃げ、高齢者の孤独死…
不動産業者から見た生活保護の「住」リアル

――政策ウォッチ編・第69回

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【政策ウォッチ編・第69回】 2014年7月18日
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生活保護利用者のアパート家賃が高くなりやすいという事実は、「住宅扶助基準を引き下げるべき」という主張の根拠となっている。その背景には、生活保護利用者に対する入居差別や、生活保護利用者が抱えていることの多いリスクがある。では、背景となっている「入居差別」「リスク」の問題そのものを解決できる可能性はないだろうか? 具体的な状況を熟知した不動産業者からは、何が生活保護の「住」の問題に見えるだろうか?

アパートの家主たちは
生活保護利用者をどう見ているか

 2013年7月に始まった生活保護費の生活扶助引き下げに続き、現在、社会保障審議会・生活保護基準部会では、住宅扶助に関する議論が続いている。委員たちの多くは単純な引き下げには反対する立場だが、厚労省の用意した資料からは、「引き下げたい」という意向がありありと感じられる。

 その背後には、財務省の「住宅扶助は高すぎる」という意向がある。根拠とされているのは、

 「生活保護利用者は、住宅扶助の上限額(東京都で、単身者に対して5万3700円)に近い賃貸住宅に住んでいることが多い」

 という調査結果である。

 生活保護の「住」が割高になる背景には、「入居差別」がある。割高な家賃を支払わなければ、生活保護利用者が住居を探すことは困難という事実がある。そもそもなぜ、生活保護利用者は入居差別に遭うのだろうか?

 不動産業者のKさんは、

 「生活保護を利用している方が賃貸物件に入居しづらいのは、リスクが高いからです。滞納、夜逃げのリスクは高いですね。生活保護を利用していない方の中にも滞納したり突然いなくなったりする方はいるのですが、私の勤務している会社で仲介した方の中では100人に1人か2人くらいです。生活保護を利用している方だと、100人のうち5人くらいにはなります。高齢の方だと、さらに死亡リスクがあります」

 という。5%が滞納または夜逃げとは。これは、考慮しないわけにはいかない大きなリスクだ。

 「だから、管理会社は貸したがらないんです」(Kさん)

 生活保護利用者の家賃は、福祉事務所が「代理納付」することができる。福祉事務所が家主に直接支払う制度だ。これを利用することはできないのだろうか? そもそも住宅扶助は、住宅の現物を給付する制度である。筆者には、代理納付のほうが本来の趣旨にかなっているように思える。Kさんの意見はどうだろうか?

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


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急増する生活保護費の不正受給が社会問題化する昨今。「生活保護」制度自体の見直しまでもが取りざたされはじめている。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を知ってもらうことを目的とし、制度そのものの解説とともに、生活保護受給者たちなどを取材。「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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