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宅森昭吉の景気の「気」を読む

4~6月期のGDPは大幅減だが
7~9月期は個人消費軸に回復へ

宅森昭吉 [三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミスト]
【第13回】 2014年8月19日
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8月13日発表の4~6月期実質GDP成長率が前期比年率▲6.8%と大幅マイナスになったことに代表されるように、足もと弱含みの経済指標も散見され、先行きの景気には不透明感が漂う。しかし、消費税率引き上げの影響は一時的なものにとどまり、7~9月期以降は回復が見込まれよう。

夏に発生し冷夏になる可能性が春に指摘されていたエルニーニョ現象は、発生自体がなくなる可能性が出てきて、先行きの消費の懸念材料がひとつ消えそうだ。また、身近な社会現象は、景気持ち直しを示唆しているものが多い。

個人消費の落ち込みで
4~6月期はマイナス成長

 2014年4~6月期実質GDP成長率第1次速報値は前期比年率▲6.8%と、東日本大震災が発生した11年1~3月期(同▲6.9%)以来の大きな落ち込みとなった。13年10~12月期以来2四半期ぶりの前期比マイナス成長だ。消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動や、実質所得の減少で、個人消費が落ち込んだ影響が大きい。

 GDPの約6割のウエイトがある最大の需要項目の実質個人消費の4~6月期は、前期比▲5.0%で7四半期ぶりの前期比マイナスの伸びとなった。

 8月4日に発表された重要な実質個人消費の関連データの消費総合指数は4~6月期前期比が▲4.6%であったので、この数字との比較ではGDPの実質個人消費はやや弱めの伸び率になった。

7~9月期は一転
個人消費は大幅増加か

 しかし、7~9月期の実質GDPの実質個人消費は相当しっかりしたプラスの伸び率に戻りそうだ。8月4日発表の消費総合指数では6月分が前月比+0.7%と5月分の同+1.5%に続き、2ヵ月連続増加になった。

 このため、消費総合指数の7~9月期へのゲタは前期比年率で+3.8%になる。7~9月期へのゲタとは4~6月期の平均よりも6月単月のデータとの差をいう。6月分が強ければ、その差の分だけ7~9月期は「プラスのゲタ」を履くと表現され、7~9月分の前月比がゼロだとしても、統計上はゲタの分だけプラスの伸び率を確保したことになる。

 GDPの実質個人消費が、消費総合指数の月次の動きと同様と考えると、ゲタだけで7~9月期の実質GDP成長率は前期比年率約2.3%も押し上げられる計算だ。

 実際には後半に真夏日が多かった7月分は、前月比かなりの増加が見込まれ、7~9月期の実質GDP成長率への実質個人消費の前期比年率寄与度は+5~6%台になる可能性があろう。

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宅森昭吉 [三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミスト]

たくもり・あきよし/三井住友アセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト。1957年東京生まれ。1980年3月慶應義塾大学経済学部卒業、同年4月三井銀行(現、三井住友銀行)入行。調査部、市場営業部などを経て94年11月さくら証券チーフエコノミストに。2001年4月さくら投信投資顧問チーフエコノミスト、02年12月三井住友アセットマネジメント、チーフエコノミスト、12年4月1日より現職。主な著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)、「日本経済『悲観神話』はもういらない」(中央公論新社)など。内閣府「景気ウォッチャー調査研究会」委員、日本経済研究センター「ESPフォーキャスト調査委員会」委員、景気循環学会・常務理事も務める。


宅森昭吉の景気の「気」を読む

景気を決めるものは何でしょうか。消費動向、企業の設備投資、海外の経済状況……。いろいろありますが、大切なのは景気の「気」。三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミストの宅森昭吉さんが、難しい経済指標だけではなく、プロ野球の日本シリーズの組み合わせ、ヒットしたテレビドラマ、天候などなど、社会の森羅万象の動きから、景気の現在とこれからを読み解きます。

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