経営 X 人事
人が育つ研修のつくり方 中原 淳
【最終回】 2014年9月1日
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中原 淳 [東京大学大学総合教育研究センター准教授]

さまざまな「事後フォロー」が
研修の効果を高める

あなたの会社には「経営に資する研修」はありますか?

新入社員研修に始まり、スキルアップ研修、階層別研修、コンプライアンス研修、マネジャー向け研修…など、企業内では様々な研修が企画、実施されている。だが、果たして社員たちはほんとうに学べているだろうか?そして、研修で学んだことを職場・現場での成果につなげることができているだろうか?

企業内で自社にフィットした社内研修を企画立案し、実施・評価していこうとする方のために書かれた研修開発の入門書、『研修開発入門 会社で「教える」、競争優位を「つくる」』から5つのテーマに絞って、研修開発担当者が知っておきたい基本的な考え方を紹介する。(構成・井上佐保子)

 「研修お疲れ様!乾杯!」
 「うまくいってよかったです~」

 A子はグラスになみなみと注がれたビールを飲み干した。

 人材開発部のA子が初めて担当した「入社3年目社員向け研修」の最終日の夜、部長の発案で、慰労会が開かれていた。自らが講師となって行ったキャリア研修も無事に終わり、参加者たちの反応も想像以上に良く、A子は久しぶりに大きな達成感を感じていた。

 A子は部長にこう話した。

 「この部署に異動してきたときは、正直に言うと、研修に対して『時間の無駄』などと、あまり良いイメージを持っていなかったんです。でも、研修開発に携わるようになって、イメージがガラッと変わりました。研修開発の仕事は『前向きな仕事』ですよね。よい場を生み出せれば、会社にとっても、社員にとっても、自分にとっても、『プラス』を生み出し『損』を与えることがない。私、この部署に異動になって本当によかったです」

 部長はニコニコと微笑みながら聞いていた。「君のおかげで、とてもいい研修になって良かった。本当にありがとう!ただ、まだ、3年目社員向け研修は終わったわけではないよ。研修後、何をするかで大きな差がつく。研修の効果を左右するのは、昔から、研修前40%:研修実施段階20%:研修後40%とも言われているんだ。特に近年は、研修の「後」の重要性が指摘されてるよ」

  「部長、わかってますよ」A子はバッグの中から付箋がいっぱい貼られた「研修開発入門」を取り出した。「研修フォローとレポーティング、ちゃんとやりますよ」

 

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中原 淳[東京大学大学総合教育研究センター准教授]

東京大学 大学総合教育研究センター准教授。著書に『職場学習論』『経営学習論』『活躍する組織人の探究』『研修開発入門』『駆け出しマネジャーの成長論』など多数。企業における人材開発の実証的研究をすすめるかたわら、さまざまな研修・ワークショップなどを開発・評価。近年では、新任マネジャー向けワークショップ「マネジメントディスカバリー」、人材開発担当者向けワークショップ「研修開発ラボ」などを開発。Blog: http://www.nakahara-lab.net/blog/、Twitter ID: nakaharajun

 

 


人が育つ研修のつくり方 中原 淳

新人研修を始め、階層別研修、マネジャー研修など、企業内でさまざまな研修が企画、実施されていますが、意外にも企業内での研修開発について企画から評価まで網羅した入門書はありませんでした。『研修開発入門 会社で「教える」、競争優位を「つくる」』は、企業内研修の企画立案・実施・評価まで、研修開発の全プロセスを350ページにわたって解説した研修開発のバイブル的入門書です。本連載では、「研修開発入門」から、研修開発担当者が知っておきたい研修開発の基本的な考え方を抜粋してお伝えします。

「人が育つ研修のつくり方 中原 淳」

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