経営 X 人事
人が育つ研修のつくり方 中原 淳
【第2回】 2014年7月22日
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中原 淳 [東京大学大学総合教育研究センター准教授]

研修内容って、どうやって決めればいいんですか?

あなたの会社には「経営に資する研修」はありますか?

新入社員研修に始まり、スキルアップ研修、階層別研修、コンプライアンス研修、マネジャー向け研修…など、企業内では様々な研修が企画、実施されている。だが、果たして社員たちはほんとうに学べているだろうか?そして、研修で学んだことを職場・現場での成果につなげることができているだろうか?

企業内で自社にフィットした社内研修を企画立案し、実施・評価していこうとする方のために書かれた研修開発の入門書、「研修開発入門」会社で「教える」、競争優位を「つくる」から5つのテーマに絞って、研修開発担当者が知っておきたい基本的な考え方を紹介する。(構成・井上佐保子)

 人材開発部に異動してきたばかりのA子が最初の仕事として任されたのは、「入社3年目社員向け研修の企画立案と実施」。

 A子は早速、昨年、この研修の担当だった先輩に話を聞くことにした。先輩は「3年目は、ロジカルシンキング(論理的思考)研修とコミュニケーション研修をやることになってるんだ」と言う。

「なぜ、その2つなんですか?」

「3年目になると、自分でお客さんに提案をしたりする機会も増えるから、ということでロジカルシンキング研修。あと、後輩が入ったりして指導的な立場になるから、ということでコミュニケ―ション研修をやることになった、って聞いてるよ。もう何年もこのメニューでやっている。講師もずっと同じ先生で慣れているから、先生のスケジュールさえ押さえれば、仕事は終わったも同然。心配しなくても大丈夫」

「そう…なんですか…」

 A子はほっとしたような、でも少し気が抜けたような複雑な気分になった。

「確かに3年目くらいになると、1人でお客さんに提案する機会も増えるし、後輩の指導もするようになるけれど、正直、3年目研修が役に立った記憶はないような…。講師の先生も悪くはなかったけど、決まりきったテキスト通りの内容で、自分たちの仕事にどうつながるのか、ピンとこなかったし…。せっかく担当するなら、もう少し現場の役に立つ研修にしたいな…。っていうか、そもそも研修内容って、どうやって決めればいいのかしら?」

 A子は、ふと部長に勧められた本のことを思い出した。「そうだ、『研修開発入門』にはどんな風に書いてあるのかな…」

 

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中原 淳[東京大学大学総合教育研究センター准教授]

東京大学 大学総合教育研究センター准教授。著書に『職場学習論』『経営学習論』『活躍する組織人の探究』『研修開発入門』『駆け出しマネジャーの成長論』など多数。企業における人材開発の実証的研究をすすめるかたわら、さまざまな研修・ワークショップなどを開発・評価。近年では、新任マネジャー向けワークショップ「マネジメントディスカバリー」、人材開発担当者向けワークショップ「研修開発ラボ」などを開発。Blog: http://www.nakahara-lab.net/blog/、Twitter ID: nakaharajun

 

 


人が育つ研修のつくり方 中原 淳

新人研修を始め、階層別研修、マネジャー研修など、企業内でさまざまな研修が企画、実施されていますが、意外にも企業内での研修開発について企画から評価まで網羅した入門書はありませんでした。『研修開発入門 会社で「教える」、競争優位を「つくる」』は、企業内研修の企画立案・実施・評価まで、研修開発の全プロセスを350ページにわたって解説した研修開発のバイブル的入門書です。本連載では、「研修開発入門」から、研修開発担当者が知っておきたい研修開発の基本的な考え方を抜粋してお伝えします。

「人が育つ研修のつくり方 中原 淳」

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