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三谷流構造的やわらか発想法

米CBSは“広告モデル”を、どうやって創造したのか
~「ビジネスモデル全史」【後編】

三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]
【第95講】 2014年9月18日
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もうひとつの巨大な収益の仕組み、
「広告モデル」は米CBSがつくった

 ビジネスモデル論にはさまざまなフレームワークが提唱されていますが、『ビジネスモデル全史』では、第83講「ビジネスモデル」はイノベーションの源か?で紹介した、4レイヤー(三谷作)を使っています。

 その中でも一般に「ビジネスモデル」といったとき、もっとも注目されるのが、プロフィット(収益の仕組み)、いわゆる「収益モデル」でしょう。

 先回の、第94講 ジレットの“替え刃モデル”は、ただのアイデア一発ではない、では、その収益モデルのひとつ「替え刃モデル」がキング・ジレット(1855~1932)によってどう創造されたかを、紹介しました。プリンターにせよ携帯電話にせよネスプレッソ(*1)にせよ、「替え刃モデル」は、未だにバリバリの現役でした。

 今回は、現代に続くもうひとつの巨大収益モデルである「広告モデル」の創造物語を紹介しましょう。創造者はウィリアム・ペイリー。タバコ会社の御曹司が、米CBSをつくり上げ、広告モデルを確立したのです。

タバコ会社の御曹司ペイリー、
ラジオ会社経営にのめり込む

 20世紀の初頭、アメリカには「豊かな大衆」が生まれつつありました。車を持ち、郊外の一戸建てに住み、生活と消費を楽しむ人々の出現です。「替え刃モデル」に続き、この時代に起きたもうひとつの「収益の仕組み」の革新が、広告モデルの誕生です。

 CMなどのメディア広告には商品売上増の力があり、メディア(テレビ・ラジオ放送局)はその広告料だけで十分やっていける、と証明したのが、タバコ会社の若き幹部 ウイリアム・ペイリー(William S. Paley、1901~1990)でした。

 消費者は1円も払うことなく、かつ商品を買う義務も負わず、自由にメディアコンテンツを楽しむことができる。そんな夢のような仕組みが、この世に出現したのです。

*1 ネスレのビジネス。年間の売上高は4000億円に達する。

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三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]

1964年大阪生まれ、福井育ち。小1のとき読書と読みかじりを人に教える快感に目覚め、駿台予備校では教えることの技術に衝撃を受ける。東京大学 理学部物理学科卒業後19年半、BCG、アクセンチュアで戦略コンサルタントとして働く。2003年から06年までアクセンチュア 戦略グループ統括。途中、INSEADでMBA修了。
2006年から教育の世界に転じ、社会人教育と同時に、子どもたち・親たち・教員向けの授業や講演に全国を飛び回る。「決める力」「発想力」と「生きる力」をテーマに毎年8000人以上と接している。現在K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 主任教授(MBAプログラム)の他に、早稲田大学ビジネススクール、グロービス経営大学院、女子栄養大学で客員教授、放課後NPO アフタースクール及びNPO法人 3keys 理事を務める。永平寺ふるさと大使。
著書多数。『一瞬で大切なことを伝える技術』(かんき出版)は啓文堂書店2012ビジネス書大賞、『経営戦略全史』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)はダイヤモンドHBRベスト経営書2013第1位、ビジネス書大賞2014大賞、『ビジネスモデル全史』(同)はHBRベスト経営書2014第1位となった。
HPは www.mitani3.com

 

 


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発想法ってなんのために存在するのでしょう? ヒトと違うアイデアや答えを出すためです。統計的に有意な戦略なんて、定義により無価値ですし、統計的に正しい発想法なんてあるわけがありません。発想に「普遍性」や「高確率」を求めるなんてそもそも矛盾しているのです。発想法も、然り。これまでと違うものを生み出すには、新しい発想法がいま求められているのです。

「三谷流構造的やわらか発想法」

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