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三谷流構造的やわらか発想法

「ビジネスモデル」はイノベーションの源か?
~任天堂が作りアップルが再発明した世界ワン・プラットフォーム

三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]
【第83講】 2014年4月3日
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「ビジネスモデル」をあえて定義するならば

 前回、「ビジネスモデル論」の在り方は3期に分かれ、2002年以降の第3期では、3つの意味づけがされている(つまりこの3点においては「使える!」と思われている)、と述べました。(第82講 参照

1.持続的競争優位の源
2.イノベーションの乗り物 Vehicle for Innovation(AdobeのPDFなど)
3.イノベーションの素 Source of Innovation

 今回は、最後の3について論ずることにします。

3は「ビジネスモデルの変革こそがイノベーションの源だ」とする考え方です。クレイトン・クリステンセンは、まさにアップルのiPodやiPhoneこそがその事例だと言います。

 ただこの議論をするためには、仮にも「ビジネモデル」なるものを定義しなくてはなりません。歴史上・学問上の個別定義の可否を論じても価値がないので、ここでは、諸主張を整理したものとして、私自身の答えを示すに留めます(面倒な方は、次の小見出しまで飛ばしてOKです)。

 まず、「ビジネスモデルとは、旧来の戦略的フレームワークを拡張するためのコンセプト・セットであり、その目的は多様化・複雑化・ネットワーク化への対応である」といえます。

 具体的には、5つのレイヤーを持ち、

<1>ターゲット(顧客):ユーザーや決裁者だけでなく、ステークホルダー全体。いわば、そのビジネスに関わるダイジなプレイヤー全部が「顧客」
<2>バリュー(提供価値):ステークホルダー個々への、トータル・バリュー・クリエーション(TVC:全体価値創造)
<3>プロフィット(収益の仕組み):「フリーミアム・モデル」などのいわゆる収益モデル。提供価値への対価をどう自社に掻き集めるかが、レベニュー・ストリーム(収入流)で、コストと組み合わせればプロフィット・フォーミュラ(収益方程式)となる
<4>オペレーション/リソース(ケイパビリティ):これらを実現するための、オペレーションや資源を他社や競合との協調まで含めての「バリューネットワーク」として考える

 この<1><2>が、従来の戦略論での「ポジショニング」(やバリュー・プロポジション)といえるでしょう。それと<4>ケイパビリティをつなぐものが、<3>収益の仕組み、です。

 そして、この<1>~<4>を統合したものが「ビジネスモデルの視点」からの経営戦フレームワークなのです。
 

 ポーターが1985年に唱えた「5つの力(Five Forces)」では、自社を取り巻く5種の勢力を「自社・業界収益を圧迫する力」として捉えましたが、現代の「ビジネスモデル」という概念では、取引先や顧客、競合すらを「価値や収益の源泉」、そして「自社と協調しうるプレイヤー」として捉えているわけです。

 その中で価値を生み出す構造(ケイパビリティ)は、自社内の「バリューチェーン」などに留まらず、より幅広い「バリューネットワーク」となっていくのです。

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三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]

1964年大阪生まれ、福井育ち。小1のとき読書と読みかじりを人に教える快感に目覚め、駿台予備校では教えることの技術に衝撃を受ける。東京大学 理学部物理学科卒業後19年半、BCG、アクセンチュアで戦略コンサルタントとして働く。2003年から06年までアクセンチュア 戦略グループ統括。途中、INSEADでMBA修了。
2006年から教育の世界に転じ、社会人教育と同時に、子どもたち・親たち・教員向けの授業や講演に全国を飛び回る。「決める力」「発想力」と「生きる力」をテーマに毎年8000人以上と接している。現在K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 主任教授(MBAプログラム)の他に、早稲田大学ビジネススクール、グロービス経営大学院、女子栄養大学で客員教授、放課後NPO アフタースクール及びNPO法人 3keys 理事を務める。永平寺ふるさと大使。
著書多数。『一瞬で大切なことを伝える技術』(かんき出版)は啓文堂書店2012ビジネス書大賞、『経営戦略全史』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)はダイヤモンドHBRベスト経営書2013第1位、ビジネス書大賞2014大賞、『ビジネスモデル全史』(同)はHBRベスト経営書2014第1位となった。
HPは www.mitani3.com

 

 


三谷流構造的やわらか発想法

発想法ってなんのために存在するのでしょう? ヒトと違うアイデアや答えを出すためです。統計的に有意な戦略なんて、定義により無価値ですし、統計的に正しい発想法なんてあるわけがありません。発想に「普遍性」や「高確率」を求めるなんてそもそも矛盾しているのです。発想法も、然り。これまでと違うものを生み出すには、新しい発想法がいま求められているのです。

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