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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

景気は本当にいいのか、それとも悪いのか
――高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト

高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]
【第149回】 2014年10月1日
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足元、景気に黄色信号か?

 最近、日本で発表された経済指標からは、自動車を中心に製造業の在庫調整圧力が高まっていることが示されている。加えて、9月に今年4~6月期の日本のGDPが年率▲7.1%へと下方修正されたこともあり、日本経済の回復に対してアラームが鳴り出したとの見方も急に台頭している。

 以下の図表1は、鉱工業生産指数の推移である。鉱工業生産指数は今年1月にピークをつけ、すでにピークから▲8.1%の低下になっている。前回の景気後退期、2012年の景気後退期の調整幅が▲8.0%であったことから、今回も景気後退期との見方も生じ得る。

 筆者の基本的な認識は、現状が2013年以降、脱「失われた20年」とした転換の潮流にあるというものだ。同時に本論の趣旨は、短期的な循環は調整の不安も生じたことで、その短期と中期の峻別をした冷静な見方が必要との点にある。

(注)網掛けは景気後退期を示す
(資料)経済産業省「鉱工業指数」よりみずほ総合研究所作成
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自動車は在庫調整に

 7月下旬以降の日本経済の論点は、自動車を中心とした耐久財の在庫調整によって先述のような景気の腰折れが生じるのではないかとの不安にあった。自動車の変調は、4月の消費税引き上げに伴い、2013年度後半の駆け込み需要の拡大とその反動が生じたことによるものである。

 また、国内では6月を中心とした豪雨による天候要因が加わったこと、加えて8月以降、西日本を中心に豪雨が訪れたこともマイナス要因である。以下の図表2は、乗用車の在庫循環を示すものだが、乗用車の在庫循環図では、4~6月期に在庫積み上がり局面に入り、7月以降は在庫調整局面に入っている。今後1~2四半期程度は、在庫調整が必要になる可能性が強い。

(資料)経済産業省「鉱工業指数」よりみずほ総合研究所作成
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高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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