赤崎勇・名城大学教授、天野浩・名古屋大学教授、中村修二・米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授の、三氏のノーベル物理学賞受賞に沸く日本だが、毎年のようにノーベル賞受賞者を輩出する都市が、米マサチューセッツ州ボストンだ。

 大学別ノーベル賞受賞数のトップ5は、ハーバード大学(米国、ボストン)、コロンビア大学(米国、ニューヨーク)、ケンブリッジ大学(英国、ケンブリッジ)、シカゴ大学(米国、シカゴ)、マサチューセッツ工科大学(米国、ボストン)で、ボストンにキャンパスを構える大学が二つもランクインしている。ボストンはまさに「知の集積地」という表現がぴったりと当てはまる。

 そこで、1970年代から10年毎に各一人ずつ、ボストンが排出したノーベル賞受賞者を写真で振り返ってみよう。その中には、ハーバード大学ロースクール出身のバラク・オバマ アメリカ合衆国大統領も含まれる。

<1970年代>
ポール A. サミュエルソン(Paul A. Samuelson)

【秘蔵写真満載!連載第2回】<br />世界でもっともノーベル賞受賞者を輩出した街 <br />米ボストンが生んだ天才たちの肖像Photo by Rick Friedman, 2005


  1915年5月15日~2009年12月13日。インディアナ州ゲーリー生まれ。受賞時はマサチューセッツ工科大学(MIT)教授。1935年、シカゴ大学で学士取得。1936年ハーバード大学修士、1941年同大学博士号取得。1947年よりマサチューセッツ工科大学教授。ベン・バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)前議長、ポール・クルーグマン・プリンストン大学教授(2008年ノーベル経済学賞受賞)の師でもある。1970年、ノーベル経済学賞受賞。1996年、アメリカ国家科学賞受賞。「経済学の巨匠」と呼ばれる。経済学者のロバート・サマーズ氏は実弟。クリントン政権での財務長官、オバマ政権で国家経済会議(NEC)委員長、ハーバード大学学長を務めたローレンス・サマーズ氏は甥にあたる。


<1980年代>
エリ・ヴィーゼル(Elie Wiesel)

【秘蔵写真満載!連載第2回】<br />世界でもっともノーベル賞受賞者を輩出した街 <br />米ボストンが生んだ天才たちの肖像Photo by Rick Friedman, 1992


 1928年9月30日、ルーマニア、シゲトゥ生まれ。受賞時はボストン大学教授。ユダヤ人で作家、哲学者。1944年、ナチス・ドイツによって家族全員がアウシュビッツ強制収容所へ送られる。1945年、父とエリはブーヘンヴァルト強制収容所へ送られ、同年解放される。当時エリは17歳。両親と妹を亡くし、生き残った姉二人とはその後再会を果たす。パリへ渡り、ソルボンヌ大学へ進学。卒業後、ジャーナリストとして働き始める。1963年、アメリカに帰化し、1976年よりボストン大学教授。ナチス・ドイツによる大量虐殺の目撃者として、講演、執筆を続ける。1986年、ノーベル平和賞受賞。