話題の書『【NHK式+心理学】一分で一生の信頼を勝ち取る法』著者で、NHKキャスター歴17年の矢野香氏に、「これをやると、ますます緊張する!やってはいけないワースト5」を伝授してもらった。今回はその後篇。いよいよ「ワースト3」を紹介! あなたも、「NHK式」NG行為を、知らず知らずにやっていないだろうか?

矢野 香(やの・かおり) スピーチコンサルタント。信頼を勝ち取る「正統派スピーチ」指導の第一人者。 NHKキャスター歴17年。おもにニュース報道番組を担当し、番組視聴率20%超えを記録した実績を持つ。 大学院では、心理学の見地から「話をする人の印象形成」を研究し、修士号取得。 現在は、国立大学の教員としてスピーチ研究を続けながら、政治家、経営者、上級管理職、ビジネスパーソン、学生などに「信頼を勝ち取るスキル」を伝授。 相手に与える印象の分析・改善力に定評があり、話し方・表情・動作を総合的に指導。全国から研修・講演依頼があとをたたない。 著書に、ベストセラーとなった『その話し方では軽すぎます!――エグゼクティブが鍛えている「人前で話す技法」』(すばる舎)などがある。 【著者オフィシャルサイトはこちら】

 好評だった前回の連載【第7回】で、NHKのアナウンサーでも当然、緊張する。しかし、緊張をコントロールする方法を知っている、という話をしました。
 今回は、その続きです。

「これをやると、ますます緊張する! やってはいけないワースト5」

 前回は、ワースト第5位――まったく緊張しない、ワースト第4位――準備不足、まで説明しました。いよいよワースト第3位からワースト第1位を紹介します。

「NHK式」これをやると、ますます緊張する! やってはいけないワースト3

●ワースト第3位――間違った深呼吸

「緊張した。リラックスしなきゃ」

 とりあえず深呼吸という方も多いことでしょう。あなたのその深呼吸は、正しい深呼吸でしょうか?

 いま、試しにこれを読みながら深呼吸をしてみてください。

 はいどうぞ。

 いま、「大きく吸って~吐いて~」という深呼吸をしたあなた。

 残念ながら間違えです。

「吸って、吐いて~」の深呼吸は、ますます緊張を高めるだけです。
 やってはいけません。

 なぜならば、緊張状態というのは、身体は過呼吸の状態になっています。そこにまた吸うと、さらに呼吸が苦しくなります。
 緊張を解くための深呼吸は、「吸って、吐く」ではなくて、

「吐いて、吸う」です。

 まずは、吸うことを考えず吐くのです。

「もう息を吐けない!」と思うまで吐き続け、その後、口を押さえて鼻から息を吸います。

 その後は、自然に息をスーっと口から吐きましょう。
 このときは、通常の呼吸でOKです。

 この深呼吸により、新しい空気をたっぷりと肺に入れ込むことができ緊張が解けます。

●ワースト第2位――手を身体の前で重ねる

 この場合の手とは、いわゆるお辞儀をするときの手です。
 人前で話すのだから、きちんとした姿勢をとらねば、と思い、「手を身体の前で重ねる」。

 これは緊張するためのポーズのようなものです。

 やってはいけません。

 特に女性に多い例です。マナーとしてよかれと思っているポーズですが、このポーズをとると、身体に余計な力が入り、ますます緊張します。

 両手は身体の横に自然に沿わせましょう。
 実際におじぎをするときだけ、手を前で重ね、お辞儀が終わったらまた横に戻す。それで十分に丁寧さは伝わります。