あなたは、いまプレゼンテーションの本番のスタートを切ろうとしている。準備オーケー、リハーサルをして、要点のチェックもすませている。いよいよ、オン・ステージだ。

 何事もそうだが、スタートが肝心である。よいスタートが切れると、緊張がほぐれて、波にのれる。聴衆にとっては、第一印象がよければ、以後のプレゼンテーションを聞いてみようという気持ちが強くなる。ここで留意したいのは、以下の2点である。

プレゼンは第一印象に左右される
好印象を与えるコツ

 プレゼンテーションの効果は、第一印象に大きく左右される。第一印象で、親近感を持たれるか、不安感を抱かれるかは、その後の話に影響する。

 第一印象は目から入ってくる印象で大半が決まる。すなわち、プレゼンターの非言語表現が、聞き手の視覚を刺激して、第一印象が瞬時に形成されるのである。

 一言でいえば、

「落ち着いて、親しみのある」

 姿が、聴衆に好印象を与える。身構えたり警戒したりしないで、聴衆の懐にすっと入っていくような、打ち解けた気持ちで、みんなの前に立てるとよい。

 こんな実例がある。

 ある役所で働く職員のAさんは、その日の夜、公民館で予定されている、市民の集会に出席して、市の新しい施策について説明を行う予定になっていた。市民の中には、反対をとなえる人も少なくないという。

 反対が予想される集会で、市側としてのプレゼンテーションを行うのは、Aさんにとっては、気が重く、プレッシャーを感じていた。

 時間がきたので、重い腰を上げて、部長に、

「これから、公民館で行われる集会に行ってまいります」

 と、あいさつした。すると部長は席から立ち上がり、Aさんの後ろに回って、肩をもみ始めた。