10月に入り日米を中心に世界同時株安が起こった。米国の日系投資銀行マンは「市場はお化けに驚いた」と表現する。市場が何をお化けと思うかは予想できない。ということは、やはり短期の株価は「ランダム」に動き、株価を予想するのはとても難しいということだ。
10月に入って、米国株の急落をきっかけに、日本の平均株価も急落した。9月26日の高値1万6374円から10月17日の1万4532円まで、下落額は1842円、率にして11%にも達する。17日金曜日、米国で堅調は経済指標が発表されて株価は反転、20日の日本市場も大幅な上昇に転じ、株価下落は一服したようにも見える。
市場はお化けに驚いた
では、なぜ今回の暴落が起こったのか。ある経済学者は「株価や為替は短期的にはランダムウォークで予測できない。後付けではなんとでも説明できるが、本当のところは分からない」と言う。
一般的な説明はこうだ。9月半ばまで、欧州はECB(欧州中央銀)の金融緩和に支えられて、徐々に回復するという見通しだったが、その後欧州当局者の意見の相違が明らかになり、欧州の景気不安が広まっていた。加えて、10月末にはFRB(米連準備理事会)のQE3(量的緩和・超金融緩和政策)の終わりが近づくと警戒されていたところに、7日に米国小売売上の減少が伝えられたことをきっかけに、株価は大幅な下げに転じた。
同じく7日には、IMF(国際通貨基金)が世界経済の成長見通しを下方修正。タイミングの悪いことに、エボラ出血熱が米国でも発生した結果、エボラ不安が下落に拍車をかけた。つまり、世界経済の先行きに対する「不確実性」が高まったというわけだ。
需給面で見るとどうか。もとも米国の場合、投資信託やヘッジファンドは10月~11月末の決算が多く、利益確定のための売りが出やすい時期。9月下旬までは、米国経済に対する楽観論の広がりから、日米の株価は急速に上昇していたため、こうした投資家は大きな利益を獲得していたはずで、何らかのきかっけがあれば、売る機会を狙っていたとも言える。