財務省の“40人学級構想”に
親や学校現場で非難轟々

 こんにちは鈴木寛です。

 文部科学省の参与として着任が決まったタイミングで財務省が小学校1年生の定員を現行の35人以下学級制から40人以下学級制に戻す提言をしたことが学校現場にまで波紋を広げています。インターネット上の「change.org」では、東京杉並区在住で4人のお子さんを持つ男性が発起人となり、35人学級の存続を呼びかける署名運動が展開され、約1万8779人(11月10日時点)の賛同者が集まっています。

「35人学級だって定員が多いくらい」「少子高齢化が進んでいるんだから一クラス20人でもいいぐらい——」

 署名運動のページに寄せられた保護者の皆さんの声は切実です。私もこのニュースを聞いた時は驚くばかりでした。

 実は、私が文部科学副大臣のときに、小学1年、2年生の35人以下学級制に踏み切ったのですが、その後、小学校3年生以上、中学校への導入がとまっていました。

 まず、40人学級を35人学級にする(正確には、「40人以下学級制」)ということについて解説しましょう。40人以下学級制というのは、一学級の児童・生徒が41人以上になれば20人と21人に分ける、つまり、一学級の児童・生徒数は、21人から40人の範囲に収まる、35人以下学級の場合は、18人から35人の範囲に児童・生徒数が収まるように学校全体の学級数を決め、その学級数に応じて担任教員及び専科教員の数を決め、その学校に配属する教師の総数を決めるという算定式の根拠となる学級数の数え方の話です。

 当然、35人以下学級制が導入されれば、それだけ学校に配属される教員の総数が増えます。ただ、すべての授業を18人から35人のクラスでおこなわなければならないわけではなく、科目に応じて柔軟に変えられます。例えば、算数はもっと小規模で、体育はもっと大規模でといった具合に、学校現場の判断が可能です。

 最近は、教室が学級ごとに閉鎖的に区切られておらず、一学年全体がうまく混ざり合うような大きな共有スペースに、間仕切りを部分的にいれたような設計の学校も増えており、ハード面でも、こうした柔軟な対応をサポートしています。

 35人以下学級を導入した経緯を振り返れば、財政論だけでこのような議論が一方的に展開されること自体がナンセンスな暴論だということが改めて分かると思います。