キッズ向け衣料の「イスビョン」の創業者でCEOのマリア・フライクマン・フォースバックさんは、「1日に8時間以上は働かない」と決めている。「イスビョン」は2005年にスウェーデンで誕生し、日本をはじめ世界15ヵ国で展開するキッズアウトドアブランドだ。彼女は経営者ながら夫と3人の子どもとの暮らしをとても大事にしている。夫も会社を経営しているというが、そうした環境下でいかに仕事と家事・育児を両立させているのか。スウェーデンでは決して特殊ではないという、その両立の秘密に迫った。
育児休暇中に出会った
“ママ友”と起業
イスビョンCEO。2001年スウェーデンの首都ストックホルム郊外の自宅でISBJORNは誕生する。当時、世界有数の経営コンサルティング会社でマネージメントコンサルタントとしてのキャリアを積む。長男を出産した後も、仕事に復帰し家事・育児をこなしていたが、休暇も取れない状況に嫌気がさしたある日、フリースのジャンプスーツを手作りする。この頃、アウトドアが盛んなスウェーデンでさえ、子ども服と言えばコットン素材のものしかなかったが、斬新なアイテムを世の中に送り出す。現在のデザイナーCamilla Schmidt(カミラ・シュミット)と出会い、2005年、ISBJORNのビジネスがスタート。3人の子どもを育てならが毎日仕事、家庭、育児と奮闘するスーパーウーマンだが、実際に会った印象はバリキャリとは違い、母親としての温かい素顔を覗かせるチャーミングな女性だった。
近年、若い親を中心に化学素材を使用しない環境に優しい子ども向け衣料品を求める動きが高まっている。特にアクティブな親たちに注目をされているのが、マリアさんが創業した「イスビョン」だ。製品の色合いはとても明るく、どこか北欧らしい温かみも感じられる。
そんなイスビョンを立ち上げたきかっけは、経営コンサルタントとして働いていたマリアさんの育児休暇中の体験にあった。
「2001年に長男のヴィクターが生まれ、私たちはアクティブな家族でしたから機能性の高い洋服を探しに出かけたんです。しかし、どうしても自分たちが求める商品を見つけることができませんでした。コットン製のものばかりで、ハイキングに連れていくときに適したものがなかったのです。そこでフリースの素材を買い、自分でベビースーツや帽子、靴下、手袋を作ったら、友人からも依頼を受けたことがイスビョンのきっかけになりました」
最初はビジネスとしては考えてなかったというが、10人~12人の母親が集まる“ママ会”のような場でカミラ(のちにイスビョンの共同創業者となるカミラ・シュミット氏)という女性と出会ったことで、ビジネスへの道が開けていく。
「彼女(カミラ)は型紙を作るパタンナーで、一方、私には経営についての知識や経験があった。もしかしたら一緒に仕事ができるんじゃないかと思ったんです。当時は仕事を続けていましたが、2人目の子どもを出産した2004年には仕事を辞め、幸運にも紹介してもらった小売業者とコンタクトをとってビジネスへと発展させることができました」