日本におけるプレゼンテーション分野の先駆者として、多くの企業・団体で「伝え方」の教育・研修を行ってきた第一人者が、プレゼン以前の「話し方」に悩む人のために、長年の経験から効果が実証されたシンプルな「3」の法則を伝授する連載。第1回は「3」のもつパワーについて。

その言い方ではなにも伝わらない

「ちょっといい?」
「なに?」
「あのさぁ、この前のことだけど……。なんとか、ならないかなぁ」
「わかった、やってみるよ。メドがついたら、すぐに連絡する」

 親しい友人同士なら、こうした会話も成立するでしょう。ところが、ビジネスの現場では、なかなかこうはいきません。

 たとえば、あなたの職場では、こんなやりとりを目にすることがありませんか?

部下 「ちょっと、いいですか?」
上司 「なに?」
部下 「あのぉ、この前の会議なんですが……」
上司 「会議?  いつの?」
部下 「いえ、会議というか、そこで決まった売上目標のことで……」
上司 「それで?」
部下 「えぇっと……目標を達成するのは難しいんじゃないかと……」
上司 「どうして?」
部下 「やっぱり、人員が足りないんじゃないかと……。それにキャンペーン期間の見直しとかも……」
上司 「キャンペーン? その準備はどうなっているんだ?」
部下 「イベント会場は確保したんですが、広告媒体が決まらないので……。そういえば、協賛企業とはいつ打ち合わせをすればいいでしょうか?」
上司 「……(憮然とした表情)。いま、忙しいんだ! あとにしてくれないか」