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経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”

“弱虫ブッシュ”が怯えたリスクとは?
「米住宅公社」救済の本当の理由

町田 徹 [ジャーナリスト]
【第36回】 2008年7月18日
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 ポールソン米財務長官が米東部時間の日曜日(13日)夕方という異例のタイミングで緊急記者会見を行い、連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の株式購入などを柱とする支援措置の導入を求めたことを受け、上下両院は住宅公社2社の救済法案の審議を急いでいる。

 とはいえ、過去数年にわたって、住宅市況を刺激するという政治的な役割を背負わされてきた2社の資産は急膨張を続け、両社の融資・保証残高は3月末に5兆ドル(530兆円)に達した。これは米国債の発行残高4兆5000億ドル(477兆円)を上回るばかりか、日本の名目GDP(国内総生産)に匹敵する巨大な規模である。

 もちろん、救済が必要とは言え、5兆ドルの融資・保証のすべてが現時点で不良債権化しているとは考えにくい。しかし、米政府は支援に必要な金額を具体的に言及しておらず、2社の救済のために米国債の発行を増やさざるを得ない局面が予想される。そうなれば、ドル金利の急上昇や米財政のひっ迫が避けられないと、別のリスクを懸念する声も強い。

 いったい、なぜ、それほどまでして、米政府は、この2社を救済する必要があるのだろうか。つい、このあいだまでグズグズしていたブッシュ政権が慌てて動き出した本当の理由を探ってみた。

 最初に、日本ではあまり馴染みがないので、ファニーメイとフレディマックについて、簡単に説明しておこう。

 ファニーメイは、民間銀行から住宅ローン債権を買い取って証券化したり、あるいは、民間が発行する住宅ローン債券担保証券の保証を行うことによって、住宅ローン市場に潤沢な資金を供給し、米国民の持ち家を促す役割を持つ半官半民会社である。そもそもは1938年に米政府が設立し、1968年に民営化した。その後、ニューヨーク証券取引所に株式を上場した経緯があり、必要な資金は同社自身が住宅モーゲージや社債を発行して調達している。

 実は、この社債こそ、ファニーメイのステータスシンボルで、米国債に次ぐ高い信用度があるとされてきた。諸外国の外貨準備資金や民間金融機関のポートフォリオ資金がかねて、ファニーメイ債を積極的に投資対象に組み入れている。このため、今回の騒動によって、各地で銀行株下落などの形で不安が増幅される原因となったのだ。

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町田徹 [ジャーナリスト]

1960年大阪府生まれ。神戸商科大学(現兵庫県立大学)卒。日本経済新聞社に入社後、記者としてリクルート事件など数々のスクープを連発。日経時代に米ペンシルバニア大学ウォートンスクールに社費留学。同社を退社後、雑誌「選択」編集者を経て独立。日興コーディアルグループの粉飾決算をスクープして、06年度の「雑誌ジャーナリズム賞 大賞」を受賞。「日本郵政-解き放たれた「巨人」「巨大独占NTTの宿罪」など著書多数。


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