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未曾有の金融危機は住宅所有者を救済しなければ終わらない

政治経済学者 ジャック・ラスマス博士に聞く

週刊ダイヤモンド編集部
【第38回】 2008年12月24日
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金融危機の“根本解決”には銀行だけでなく、住宅所有者の救済も必要だとする意見が米国内で増えている。その急先鋒に立つジャック・ラスマス博士は、モラトリアム(支払い猶予期間)設定のほか、住宅ローン元金の減額など4つの処方箋を提案する。

ジャック・ラスマス
ジャック・ラスマス博士

―サブプライム問題はなぜ起こったのか。

 その背景には規制緩和でヘッジファンドやレバリッジなどの投機がやりやすくなり、投機資金が激増し、金融市場が不安定化したことがある。この数十年で金融機関の投資資金の集め方や構造は著しく変化し、普通の生産的な投資から投機的な投資へとシフトした。

 銀行や証券会社は金融工学を駆使してCDO(債務担保証券)、CLO(貸付債権担保証券)などの金融証券を開発し、投機を後押しした。また、住宅ローン会社は返済できそうもない人たちにサブプライムローンを組んで家を買うようにすすめた。いったんローンを組んでしまえば後はベアー・スターンズやメリルリンチなどに売り渡すだけなので、その中身や質はまったく関係なかった。

 サブプライムローンを買い取った金融機関はそれを小さく分けてごちゃ混ぜにし、CDOなど他の証券化商品に作り替え、世界中の顧客に高利回り証券として販売。住宅ブームで価格が上がり続けていたため、これらは不良証券にもかかわらずよく売れた。米国の住宅ローン総額は2002年からの4年間で4兆ドルにのぼったが、そのうち約3分の1はサブプライムローンによるものだ。しかし、住宅価格は永遠に上がり続けることはなく、いつかは下がることは自明の理だった。

―FRBの責任は?

 金利を低くしてお金を借りやすくするFRBの金融政策も、この流れに拍車をかけた。プロの投機家たちがどんどんお金を借りて、莫大な利益を得ようとヘッジファンドなどに投資したのだ。グリーンスパン前FRB総裁は1986年から2004年の間、市場主義を守る政策を続け、投機家たちにやりたい放題にさせた。業界で彼の評価が高いのは、その政策のおかげで多くの人が大儲けできたからであろう。

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