つくばみらい市だけではない?
取材で明るみに出たトンデモ課税ミス
前回(連載第128回)、ある自治体がうっかりミスで固定資産税を長年過大に徴収していた事例を紹介した。住宅用地への軽減措置を適用し忘れたという「前代未聞」のミスで、余計に税を取り立てられていた住民にすれば、腹立たしい限りであろう。取材に応じた担当課長はひたすら平身低頭し、身を縮めながらことの顛末を語った。「あってはならない重大なミス」だと恥じていた。
だが、取材を進めるうちに仰天の実態が見えてきた。行政側の不手際による税金の取り過ぎは、「あってはならない重大なミス」であるだけでなく、「よくあるミス」というべきものだった。固定資産税などの取り過ぎはよその自治体でも起きていて、むしろそう珍しい不祥事ではなかったのである。
なかには、前回のつくばみらい市のケースを上回るトンデモナイ事案もあった。取材していて、「上には上があるものだな」と奇妙な感慨にふけってしまったのである。
「現在、固定資産の全件調査を実施していまして、3月末までに完了させる予定です。なぜミスが起きたのか、それを特定することは難しくてできません」
こう語るのは、埼玉県新座市の資産税課長だ。新座市でも昨年夏、固定資産税などの過大徴収が発覚して大騒動となっている。こちらもつくばみらい市と同様、小規模住宅用地に認められている軽減特例を一部で適用せずに課税していたのである。
新座市は現在、市内全ての土地(6万5955筆)を対象に確認作業を実施している。作業は2月中旬時点で95%まで進捗しており、これまでに338件の過大徴収ミスが判明した。市は、土地への課税ミスは最終的に450件ほどに上ると見ている。
新座市のケースも固定資産税のよくある過大徴収ミスと言えるが、こちらはやや複雑な事情を抱えていた。そもそも、ミス発覚の端緒が極めて異例なものだった。