8月2日、京都市は数年越しで進めてきた「ごみ焼却灰溶融施設の建設計画」で、工事を請け負っていた住友重機械工業に対して“契約解除”を通告した。

2013年6月に就任した直後に、京都市からの“契約解除”に直面した住友重機の別川俊介社長。図らずも、国内のプラント建設・工事関係者から注目を集めているが、相当に厳しい局面である(今年6月、新社長就任時に撮影)
Photo by Shinichi Yokoyama

 この新型施設は、設備の心臓部でトラブルが相次いだことから、引き渡しの時期が3年以上遅れていた。現在、契約を解除した立場の京都市は、すでに完成している建屋の解体・撤去を求めるという前代未聞の事態に発展している。

 順を追って複雑な事態の流れを整理すると、次のようになる。

 2005年3月18日。ごみ問題の解決に悩んでいた京都市は、市内に一つしかない最終処分場(埋立地)の延命を図るために、約114億円(総事業費は約175億円)で、最新技術を売り物にする住友重機と契約した。この時、引き渡し日は10年5月31日に設定された。

 住友重機の新型設備は、市内にある4ヵ所のごみ焼却施設が出す焼却灰を1ヵ所に集約し、さらに1200度以上の高温で溶かした後に冷却・固化させることで、焼却灰の体積を約半分に圧縮するという“2次装置”だ。「計画通りにいけば、50年で限界に達する最終処分場の寿命が20年ほど伸ばせるので、京都市は大きな期待を寄せていた」(大阪のある設備メーカー幹部)。

工事が宙に浮いた間に
時間切れで契約解除へ

 だが、設計ミスが原因となって、施設内の排水から基準値を大幅に上回るダイオキシンが検出されるなどのトラブルが続発した。実施主体の京都市は、市議会ではもともと反対だった共産党議員の追求がエスカレートする中で、苦しい弁明を繰り返すハメに陥った。

 最終的に、住友重機は10年5月31日の契約納期を守ることができなかった。翌6月1日より、京都市に対して毎日約200万円の遅延損害金を払い続けることになる。