国際物流が生産工場の1ラインになった
「ものづくり日本」の課題

UPS × カーゴニュース × ダイヤモンド・オンライン

日本企業が国際物流を
うまく活用できない理由

西村 グローバルな規模で水平分業が行なわれるようになった結果、様々な製造ラインが入り乱れているのが現実ですが、それらを複眼的に管理するというのが非常に難しいですね。

 「生産物流」への対応以外の部分でも、国際物流には特有の問題というものが存在するのではないでしょうか? 国境を越えたやりとりであるだけに、国家間のルールの違いが足を引っ張るなど、なかなか簡単には事が運ばないようなイメージが浮かびますが、実際のところはいかがでしょうか。

西村 国内物流はとてもシンプルであるのに対し、国際物流は複雑でわかりづらく、この分野を専門に取材を続けてきた私でも、きちんと理解するにはかなりの時間を要しました。

 例えば国内物流ならトラック業者と荷主の二者間で取引があって、発注してから到着までの所要時間は長くてもせいぜい2日です。ところが、国際物流にはさまざまなプレイヤーが関わってくるうえ、両端で通関の手続きが発生し、交わす書類も国によって書式が異なるし、所要時間もまちまちです。

 アジアでも海路なら1週間程度で、両端の通関で手間取ればさらに時間を要します。製造元は需要予測に基づいて生産計画を立てますが、所要時間が長くなれば変動リスクが高くなります。

 つまり、国際物流は「ブラックボックス」化してしまう部分が多いのです。そのため日本企業でも、よっぽど大手で物流部門がしっかりしているところでない限り、どうしても「心理的な壁」を感じて、一歩引いてしまうところがあるように思います。だからなかなか国際物流を効率良く使いこなせていない企業が多いのではないでしょうか。

秋田 関わってくるプレイヤーが多いと、それぞれの取り次ぎごとに情報も途切れがちですね。プレイヤー同士のコミュニケーションが不十分で、貨物が倉庫に1週間も眠ったままになるというケースも発生しかねません。UPSは陸・海・空のすべてを最適に駆使した一貫輸送にこだわり、煩雑な通関手続きなども全てお受けできます。1人の営業マンを窓口として国際物流のコンサルティング的なサービスを提供できるのですが、昨今、このように「すべて担えること」が特に大きな付加価値になっています。こうしたニーズは、国際物流の変化によって求められるようになってきたものの象徴でしょう。

西村 そうした心理的な壁に加えて、特に大企業だと「セクションの壁」というのもある。物流部門はこう変えたいけれど、製造部門はこうしたい、という意見があって、それをすりあわせるのは意外に大変です。部門ごとに“部分最適”を調整しつつ、会社全体の利益を見渡しての”全体最適”も果たすのは並大抵ではない。

 また、大企業にも、特に中小企業に言えることですが、国際物流を管理できる人材が圧倒的に不足しているのも、国際物流をなかなかうまく活用できない要因の一つだと思います。

 しかし、こうなってくると必然的に、国際物流に関してトータルなネットワーク力やノウハウも不可欠となってくるのは明らかでしょう。UPSの調査のp.30でも、自社の物流を効率化するために何が必要か、多くの改善ポイントが挙げられています。これまでの物流に対する取り組みを見直すべきだという風潮が強まりつつあるのでは?

西村 この問題は、単なる物流部門の改善点ではなく、企業経営に関わる大きな問題として意識されるべきだと思います。

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