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山田厚史の「世界かわら版」

国際金融秩序に挑戦する中国
外野から批判する日本の弱腰

山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]
【第80回】 2015年3月12日
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Photo:Freer-Fotolia.com

 10年間に800億ドルが必要とされるユーラシア大陸のインフラ建設に向け、中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立を呼び掛けている。アセアンから中央アジア、中東に連なる多く国が参加を表明。財政基盤が弱い途上国を支援する投資銀行という位置づけだが、世界の金融秩序「IMF・世銀体制」への挑戦というのが専門家の見立てだ。

 仮にそうであっても日本はAIIBに参加したほうがいい。なにかと問題の多い中国を牽制するには、アジアの途上国と連帯することが欠かせない。IMFの現状を見ても、米国中心の国際金融秩序は時代の変化に対応できない。新たな金融秩序の構築を目指す中国に、日本は正々堂々と向き合う覚悟が必要だ。

中国が目論むアジア太平洋の経済覇権
武力を使わず「大中華圏」を実現

 米国のオバマ政権がアジア太平洋経済連携協定(TPP)でアジア地域を取り込もうとしているように、自国に有利なルールや制度を作ることが「経済覇権」を握ることにつながる。AIIBは「新興国の、新興国による、新興国のための金融機構」とされるが、新興国を中国と置き換えれば分かりやすい。

 「先進国や域外国にも参加を求めているが域外国の出資比率は合わせて25%までに制限されています。仮に米国やEU諸国が参加しても発言力は制限される」と政府関係者はいう。

 IMFもそうだが、国際金融機関での発言力は出資比率によって決まる。比率は経済の大きさ、すなわちGDPが目安だ。AIIBではアジアで突出した経済規模の中国が突出した出資比率になる。本部は北京、総裁には暫定事務局長を務めている金立群・元中国財務部副部長が就く見通し。他国からも選ばれる理事は非常勤で北京にはいない。

 「中国の、中国による、中国のための国際金融機関になる」といわえれるゆえんだ。

 年間3000億ドルを超える貿易黒字を稼ぎ、外貨準備も潤沢な中国が豊富な資金を使って途上国のインフラ建設を支援する。道路・鉄道・港湾など得意とする土木で「すべての道は北京につながる」ネットワークをユーラシアに張り巡らせる。人民元がおのずと流通するようになる。通貨やインフラがつながれば経済から国境はなくなる。ドイツがEUを支配したように、武力を使わず大中華圏が実現する、という筋書きだ。

 だが中国流のルールが広まることに先進国は不安を募らせている。

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山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]

やまだ あつし/1971年朝日新聞入社。青森・千葉支局員を経て経済記者。大蔵省、外務省、自動車業界、金融証券業界など担当。ロンドン特派員として東欧の市場経済化、EC市場統合などを取材、93年から編集委員。ハーバード大学ニーマンフェロー。朝日新聞特別編集委員(経済担当)として大蔵行政や金融業界の体質を問う記事を執筆。2000年からバンコク特派員。2012年からフリージャーナリスト。CS放送「朝日ニュースター」で、「パックインジャーナル」のコメンテーターなど務める。

 


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元朝日新聞編集員で、反骨のジャーナリスト山田厚史が、世界中で起こる政治・経済の森羅万象に鋭く切り込む。その独自の視点で、強者の論理の欺瞞や矛盾、市場原理の裏に潜む冷徹な打算を解き明かします。

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