ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
経済は世界史から学べ!
【第13回】 2015年3月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
茂木誠 [駿台予備学校 世界史科講師]

“「不況なのに株価が上がる」恐ろしさ”
「経済成長→世界恐慌」のメカニズム

1
nextpage

景気と株価は本来連動するものです。しかし歴史的には、「不況なのに株価が上がる」という事態が度々起こりました。その結果、何が起こったのでしょうか?現在の日本を思い浮かべながら、読み進めてください。

株価が永遠に上昇し続ける
ことはない

 日本経済の「失われた20年」を引き起こしたのは、1989年の株価暴落に始まるバブル崩壊でした。同じ現象が、「オランダのチューリップ・バブル」「イギリスの南海バブル事件」、そして「1929年の世界恐慌」でも起こったのです。

 第一次世界大戦で連合国を勝利に導き、しかも本国が戦場にならなかったアメリカ合衆国は空前の経済大国に成長し、世界最大の債権国になります。ヨーロッパ経済はまだ立ち直らず、米国からの輸出は好調でした。貿易黒字に加え、大戦中に買っておいたヨーロッパ諸国の戦時国債の償還(支払い)も始まり、大量の資金がニューヨークのウォール街に流れ込みます。

 ウォール街の金融資本は、これらの資金を企業に低利で貸しつけます。企業の経営者は、工場の生産ラインなど設備投資に資金を投下します。

 フォード自動車は、最初の庶民向け乗用車であるT型フォードを販売し、ゼネラル・エレクトリック社(GE)の冷蔵庫・洗濯機・ラジオが一般家庭に普及したのもこの時代です。日本では1960年代に始まった大量生産・大量消費社会が、1920年代のアメリカではすでに実現していたのです。

 賃金も上昇し、庶民は家電やクルマを買い求め、株式や債券、土地に投資するようになりました。毎日の株価が主婦の話題になり、マスコミがこれを煽りました。

 しかし、プロの投資家たち―銀行や証券会社にはわかっていたのです。株価が永遠に上昇し続けることはないということを……。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
  • ダイヤモンド・オンライン 関連記事
    お金のウソ

    お金のウソ

    中野晴啓 著

    定価(税込):本体1,500円+税   発行年月:2017年7月

    <内容紹介>
    誰も教えてくれなかった「お金の真実」!親の言うことを聞いているとお金が減る。 20代、30代がこれから生き抜くための本当に必要で最低限の知識。 成長なき「成熟経済」の時代に、お金を着実にふやして、守り、安心を手に入れるには、 預金、保険、銀行、投資…お金をふやすには、どうつきあうのが正解?

    本を購入する
    ダイヤモンド社の電子書籍

    (POSデータ調べ、8/6~8/12)



    茂木誠(もぎ・まこと) [駿台予備学校 世界史科講師]

    駿台予備学校世界史科講師。
    「東大世界史、難関国立大世界史」等の講座を担当。映像を駆使したストーリー仕立ての講義は、「歴史の流れ」がわかると大好評。予備校の東大受験クラスから初学者まで、あらゆる学力の生徒を教えるテクニックがある。時事問題を歴史的な切り口から考察する『もぎせか館ブログ』を運営するブロガーとしての顔も持つ。

     


    経済は世界史から学べ!

    本連載は「世界史というレンズ」を通して、経済をより深く理解するというアプローチをとったものです。
    経済(お金)に関する事柄は、ある日突然生まれたものではなく、歴史的な必然性を持って生まれます。
    ゆえに、その歴史の必然性を知ることで、経済をより深く理解することができるのです。
    増税、TPP、円高、デフレ、バブル、国債、恐慌etc。
    「そのとき、何が起こっていたのか」という歴史の流れを知ることで、経済の「なぜ」「どうして」がスッキリわかるようになります。
    著者は、駿台予備校講師の茂木誠氏。「東大世界史」「難関国立世界史」等の講座を担当する実力派です。
    歴史の流れをわかりやすく、そして深く理解させるプロフェッショナルが、「経済を世界史から学ぶ」という試みに挑戦します。

    「経済は世界史から学べ!」

    ⇒バックナンバー一覧